文字サイズ(変更方法 文字サイズを大きく 文字サイズを小さく
2017年02月16日号

1;太平洋、米事業が堅調~セメント大手

セメント大手5社の2016年4~12月期の連結決算が10日、出そろった。主力品の数量減や円高などで売上高は軒並み減収。経常利益は太平洋セメント、トクヤマが増益、住友大阪セメント、三菱マテリアル、宇部興産が減益となった。

太平洋は米国、アジアでのセメント事業が堅調だった。セメント輸出を大幅に増やし、国内の減少分をカバーした。トクヤマはトクヤママレーシアの稼働率改善などで収益力が回復。住友大阪はセメント販売数量の減少に加え、輸出価格の低下が響いた。光電子や電池材料で利益を積み上げた一方で、新材料は大幅な減益となった。

三菱マテはセメント、金属は増益を確保したものの、数量減や為替の影響により加工や電子材料が振るわなかった。宇部は工場の定期修理などで化学の利益が半減し、建設資材の業績にもブレーキがかかった。

三菱マテ、宇部が17年3月期の業績予想を修正した。経常利益を従来予想に対し三菱マテは30億円引き上げ、宇部は20億円引き下げた。

光・電池が好調

住友大阪セメントが9日発表した4~12月期の連結決算は営業利益が前年同期比4・9%減の164億3千万円だった。LN変調器の販売増で光電子事業は47・8%増の11億5千万円、電池材料の損益改善などでその他事業は2・4倍の9億円と好調だったが、セメント事業や新材料事業のマイナスをカバーしきれなかった。

経常利益は4・8%減の178億7千万円、純利益は2・8%増の128億8千万円だった。自己資本比率は57・2%と昨年度末から3・3ポイント増加した。

純利益2.1倍に

太平洋セメントが10日発表した4~12月期の連結決算は減収増益だった。純利益は雙龍セメント株式の売却や税金費用の低減などで571億1千万円と2・1倍だった。

売上高は5・5%減の5922億円だった。増収は環境事業だけで石炭灰など廃棄物処理や石膏販売などが堅調に推移した。セメント販売は国内向けが40万トン減、輸出向けが50万トン増と差引10万トン増えた。

営業利益は2・2%増の442億3千万円だった。セメント事業が利益の押し上げ役で、デイ・シイの完全子会社化効果も加わり国内が200億円とおおむね前年並みを確保し、海外も米国などでの販売増で約19億円増の73億円となった。米国事業では一昨年実施した買収効果も表れている。一方で、中国事業は依然として逆風が吹いている。