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2017年01月12日号

1;期間契約の実現目指す~大阪広域生コン協組

大阪広域生コンクリート協同組合(大阪市、木村貴洋理事長)は、生コンの売買契約の有効期間を定めた「期間契約」を軸に契約形態の見直しに着手する方針だ。原材料の値上げなどが予想されるなか、コストアップを速やかに売価に反映できる形に契約形態を改めることにより組合員の負担を軽減する狙いがある。

大阪で大同団結の流れが加速して2年余り。大阪広域協組は95%を超える市場占有率を握り、市況形成力を取り戻した。これにより市況は急回復し、足元の域内各都市の調査会表示価格は、同協組が4月に打ち出した販売価格と同じ1万3800円(18・18・20)となった。1年余りで2000~2400円上がった。

同協組は第3弾の値上げとして、今年4月1日以降の契約分から売価を1万5800円に改定する。これで陥没市況の是正を目的とした値上げは1つの区切りを迎えるが、これが終着点ではない。

同日から適用を始める価格表で、ベース価格を1万5800円から1万8500円に改定する。「今後2~3年で予想されるコストアップを勘案して見直した」(木村理事長)。その獲得に向けたスケジュールは未定だが、原材料の値上げや運搬コストなどを睨みながら売価を適宜見直す考えだ。

これまでの値上げで問題になったのが旧契約の処理。一度契約を結ぶと工事が終わるまで価格を見直させない、つまり「同一物件・同一価格」が原則の現行の契約形態が足かせとなり、値上げの浸透が遅れるなど様々な問題が顕在化。そこで浮上してきたのが期間契約だ。

同協組はかつて期間契約の導入を打ち出したが、需要家の抵抗や取り巻く情勢の悪化で定着に至らなかった。それに再チャレンジする。木村理事長は「期間契約は今年最大の検討テーマとなる。難しい課題が山積しているが、具体化を図りたい」と意欲を示す。早ければ2018年の導入を視野に入れ、制度設計を加速させる方針だ。

構造改善も課題だ。大阪の需要規模は約600万m3に上るとはいえ、最盛期の6割程度。長期的に漸減していく公算が大きい。足元でも需要偏在で工場間の出荷格差が広がり、さらに工場が集中し大幅な需給ギャップが発生している地域もある。「価格も際限なく上げられるわけではない。構造改善は避けて通れない課題だ」と木村理事長は指摘する。

同協組の歴史は、一面では構造改善の歴史だ。直近では2010年に約100億円を投じ、シェア買い上げ方式で26工場を廃棄した。発足以降に廃棄した工場数は100を超える。ここ数年は財源問題から組合員工場間で生産を受委託する「協業化」を推奨しているが、供給能力を抜本的に減らすにはやはり工場廃棄が効果的だ。

11月に開いた臨時総会で、構造改善資金として5年で75億円を積み立てることを決めた。特別賦課金として17年4月から9月末までm3あたり100円、10月から18年3月末まで同200円、同4月から同300円を徴収する。木村理事長は「これまでは金融機関から借り入れた資金で構造改善を実施してきたが、これからは自己資金を手厚くするなど事前の準備をしっかりやったうえで工場廃棄を進めたい」と語っている。