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2016年09月08日号

1;暑中コンクリートの温度上昇幅を推定~GNN

「夏期のコンクリート温度は、荷卸し時に40度を超えるケースがある」――。元気な生コンネットワーク(GNN)が先月、博多で開かれた日本建築学会大会で報告した。コンクリート温度は、生コンJIS(A5308)に規制はないものの、土木学会のコンクリート示方書や日本建築学会の鉄筋コンクリート工事標準仕様書(JASS5)で「35度以下を標準とする」と規定されている。コンクリートの高強度化に伴う富配合化や気温の上昇など、暑中期のコンクリートを取り巻く環境が厳しさを増す中で、外気温や日射量からコンクリート温度を算出する方法を検討する。

GNNでは昨年7月から3か月間、暑中期におけるコンクリート温度の抑制対策として、各メーカーが販売する商材の温度上昇抑制効果を検証した。この一環でGNNマシナリージャパンが展開するIBBプローブで、ドラム内のコンクリート温度を測定し、300万件を超えるデータを収集。この中にコンクリート温度が40度を超えたケースもあった。GNN暑中コンソーシアムの山路克昌リーダーは「IBBプローブはドラム内の経時変化を測定する装置であり、現場到着時点の正確な温度を保証するものではないが、実測値とは相関関係がある。これによると工場で生コンを積み込んだ段階でコンクリート温度が34度に達し、現場到着時に35度以下を確保するのは困難なケースもあった」という。

共通試験の方法について助言した竹中工務店の岩清水隆氏が学会で論文の公表を勧めた。岩清水氏は「これまではコンクリート温度が35度を超えると、生コン工場に持ち帰るだけだった。35度を超えるデータの報告は少なく、そういったコンクリートはほとんどないという認識もある」と指摘する。

300万件を分析

実験で外気温だけでなく日射量も測定した。その結果、コンクリート温度は外気温より日射量に左右されやすいことが分かった。GNNでは収集したデータを分析し、コンクリート温度の上昇幅を推定する方法を検討する考えだ。