1;大臣認定、審査を厳格化
大臣認定の見直しの動きが進んでいる。国土交通省が昨年度実施した建築基準整備促進事業(基整促)「指定建築材料の大臣認定における審査に関する検討」で、コンクリートを含むすべての指定建築材料を実地検査の対象とすることを提案した。
国交省は昨年発生した東洋ゴム工業の免震ゴムの性能偽装を発端に免震材料の大臣認定審査体制を強化した。免震材料以外の大臣認定についても見直す方針を示し、建築性能基準推進協会が主体となって検討していた。同協会は、国交省建築指導課及び国土技術政策総合研究所と連携して、各指定建築材料の市場における検証状況などを調査していた。その結果を踏まえて大臣認定制度の方向性を検討した。
調査対象は木材や鋼材、コンクリートなど13種類の指定建築材料。大臣認定取得者に製造時検査、製品検査及び品質基準を測定する検査主体や製品証明書などの発行状況、検査記録の保管期間、性能評価時に提出するデータの試験実施主体の4項目を調査した。
調査結果によると、原材料受入時の検査は鋼材、コンクリートを除き第三者機関による検査は行われていなかった。コンクリートは骨材試験などを行うための設備が自社にないケースもあり、第三者機関に試験を依頼している。出荷時の製品検査についても同様で、コンクリートは高強度コンクリートの出荷時に信頼性を確保するために第三者機関に圧縮強度試験を依頼するケースが多い。
工事施工者の受入検査は、コンクリートは荷卸し時にスランプや空気量などの品質を確認する受入試験を実施しているが、他の材料は検査証明書による確認がほとんどで、試験などで性能を確認するケースは少ない。
同協会はこの結果を踏まえ、原則として全ての指定建築材料を免震材料と同様に、実地検査を行うよう提案した。コンクリートは受入検査が行われているが、過去に発生した仕様違い事案は荷卸し時に行う「受入試験で判別できなかった」とし、製品検査が十分ではないとして対象とした。
実地検査の対象とすべき品質基準は、コンクリートは圧縮試験、スランプ(スランプフロー)、空気量、(各材料の)単位重量を重要な項目として示し、製造者が工事施工者に提供すべき情報として提案した。