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2016年04月21日号

1;生コン12工場が操業停止~熊本地震

14日夜から熊本、大分両県で続発している地震で、熊本を中心に大分、佐賀の3県で生コン工場が被災しているもようだ。19日午後3時時点で、熊本の12工場が生コンの製造をストップしている。セメント、骨材、混和剤は供給されているが、主要幹線道路が通行止めとなっている影響で、今後も安定的に調達できるかどうか懸念する声が出始めている。

今回の地震で特に被害が大きいのが熊本市内から阿蘇地区にかけてのエリア。熊本県生コンクリート工業組合によると、3地区(熊本、阿蘇、宇城)の12工場が操業を停止している。このうち、熊本市や益城町を事業エリアに含む熊本地区生コンクリート協同組合の工場は16日未明の本震で13工場が操業を停止。19日までに3工場が復旧したが、残る10工場は操業が止まったままになっている。操業を停止している10工場のうち「5工場程度は操業再開まで時間を要しそう」(協組)としている。一番大きな被害は、セメントサイロの倒壊(1工場)。このほかは骨材サイロが傾いた工場もある。

供給については、被災した工場の代納などに努めている。すでに民間工事では、出荷を再開している。

ただ、一部地域では従業員が被災して会社に出勤できず、人員不足に陥るケースも散見される。また、骨材の調達については、熊本港に荷揚げされた骨材が橋梁の通行規制などで供給が滞る懸念が出てきている。

阿蘇地区の生コン工場では、1工場でセメントサイロが倒壊した。また、3工場は外観上の問題はないものの、現在出荷が可能か設備を点検している。宇城地区の1工場も復旧までしばらく時間がかかるもよう。ただ、他工場の代納などで対応できるという。

熊本県内の生コン協組は昨年、事業継続計画(BCP)を作成している。各協組は地震発生以降、地区内工場の稼働状況などを調査、工組に報告した。14日夜の地震は翌15日午前中に全て報告を受け、県や経済産業省など関係機関に対し工場が稼働し、供給も問題なしと報告した。16日未明の本震後の状況についてもすでに関係機関へ報告した。

大分では2工場が被災した。大分中央エリアの1工場は骨材サイロ(砂)の壁が剥がれたものの、通常通り稼働している。豊肥エリアの1工場はプラントを支える柱が変形したが、応急措置で仮復旧している。

佐賀では佐賀市内の1工場で配管が損傷したものの、生コンの製造に影響はないという。福岡、長崎、宮崎、鹿児島工組には工場が被災した報告は上がっていない。

ヤマックスが本社機能停止

製品業界にも影響が広がっている。大手メーカーのヤマックスは16日未明の地震で熊本市内の本社機能を停止している(19日午後3時時点)。同社は九州コンクリート製品協会の事務局も兼ねており、製品業界における被害の全容は把握できていない。同社は14日夜の地震で震源に近い工場のストックヤードで在庫が崩れ、一部製品が損傷していた。また、インフラテックも熊本営業所の業務を停止している。

九州を支えるインフラ網の被害も大きい。2011年3月に開業した九州新幹線は熊本駅付近で回送列車が脱線したほか、熊本県内を中心に高架橋などコンクリート構造物が130か所ほど損傷しており、復旧までしばらく時間がかかるもようだ。九州自動車道も熊本県内の区間で路盤損傷や上部道路の落橋で道路がふさがれるなどの被害が出ている。