文字サイズ(変更方法 文字サイズを大きく 文字サイズを小さく
2016年03月03日号

1;16年度も荷動き鈍く~セメント

セメントの国内需要は向こう1年間も低調に推移しそうだ。セメント協会は2月25日、2016年度の国内需要について、今年度見込みと同じ4300万トンとする見通しを発表した。民需は回復に転じる反面、公共投資の減額で官需は減少基調が続く。内需不振の中で一定の生産量を確保するため輸出ドライブがかかり14・3%増の1200万トンと急増する。

15年度の内需は前年比5・6%減の4300万トンと見込んだ。内訳は官需向けが7・9%減の2170万トン、民需向けが3・1%減の2130万トンで、2年連続で前年実績を下回る。だが、1月の国内販売が2ケタマイナスとなり、2月も20日時点の1日当たり前年比が9%減と低調なことから、「4300万トンを割り込むのはほぼ確実」(セメント大手)との見方が支配的。4270万トン前後と11年度水準にとどまる公算が大きい。

従来予想は4600万トンだった。公共投資の減額、住宅投資の低迷、人手不足などによる着工遅れ、工期の長期化、鉄筋コンクリート造から鉄骨造への工法変更など様々な要因が複合化し、需要縮小圧力が強まっているもよう。14~15年度の減少量は累計で約500万トンに上り、11~13年度の増加分の5分の4が失われる。

16年度は官需向けが3・2%減の2100万トン、民需向けが3・3%増の2200万トンと予想した。官需については公共投資が実質減額になること、工期が長期化していることを減少理由にあげた。民需は消費増税前の住宅の駆込み需要や東京オリンピック・パラリンピック関連需要を織り込んだ。民需増加の恩恵を受けられるのは東京など大都市圏に限られ、公共投資依存度の高い地方は総じて厳しい状況が続きそうだ。

輸出は1200万トン

今年度のセメントの輸出は11・5%増の1050万トンと2年連続で前年実績を上回る見込み。1000万トンの大台を超えるのは11年度以来、4年ぶり。16年度は、他国品との競合が予想される一方、アジアやオセアニアからの引合いが強いとして96年度の1243万トン以来、20年ぶりに1200万トン台に達すると見通した。