1;地域偏在が鮮明に~東北の生コン
東北の生コン出荷は地域偏在が鮮明になってきている。太平洋沿岸部では復興需要が旺盛で、月当たり1万m3以上出荷する工場も珍しくない中、青森、秋田、山形の3県では1000m3に達しない工場も散見されるなど、10倍以上の格差が生じている。
東北地区の4~10月の出荷量(非組合員は推定)は前年同期比0・2%増の588万7千m3だった。6県のうち前年実績を上回ったのは岩手、福島両県でともに2ケタプラスだった。太平洋沿岸部の災害復興需要が出たことに加え、内陸部と沿岸部を結ぶ復興道路の需要が出始めている。
こうした中、原発事故の影響で復興工事が遅れていた福島県の相双地区では、生コン協組が「ふたば復興生コン」を設置し、福島第一原発の廃炉に向けた準備を整えた。また、岩手県でも復興道路の建設に対応するプラントが宮古市川内地区に建設されている。今月中にも本格稼働を始める予定だ。
一方、宮城県の4~10月の出荷量は6%減の169万4千m3だった。石巻、気仙沼両地区では復興需要が旺盛だが、仙台市内は昨年度中に地下鉄、南蒲生浄化センター復旧工事が終了。仙台協組は今年度の出荷量を前年比2割減の70万m3と見込んでいる。今後エリア内で展開する員外社や新設プラントの扱いなど、需要減少下において組織率強化や市況対策が大きな課題となりそうだ。
日本海側の秋田、山形両県の出荷量はともに15%前後落ち込んでいる。秋田、山形両生コン工組とも今年度の需要想定を当初見込みから下方修正するなど、需要環境は厳しさを増している。月平均出荷量が1000m3に満たない工場でも、供給エリアを維持するため、存続させなければいけない工場もある。こうした工場については、出荷のない時期には休止できるよう近隣工場との協業化、協組が供給エリアを維持するために工場を買い取るなど、従来の採算性を重視した集約化とは異なる方策の検討が必要になりそうだ。