1;工場集約は継続課題~全生連
全国生コンクリート工業組合連合会、同協同組合連合会はこのほど、昨年度末で終了した構造改革の報告書を発刊した。構造改革で決議された9項目を具体化した24課題の進捗や成果をまとめた。報告書で全生連は、構造改革で一定の成果は得たものの、集約化や需要開拓、品質保証、生コン業界の社会的責任に対して、引き続き取り組んでいくとしている。
全生連が2009年に開催した通常総会で、工場集約化による生産規模の適正化を柱とする構造改革を進めることを決議した。 10年から5か年計画でスタート。当時はリーマンショックの余波で1工場当たりの年間出荷量が2万8千m3と3万m3を割り込んでいた。加えて08年の溶融スラグ不正混入事件が社会問題化するなど、生コンの信頼性向上、品質確保も大きな課題となっていた。
工場の集約化は全国で3割、1200工場を廃棄する目標を掲げたが、実績はプレ期間となった09年度を含む6年間で350工場にとどまった。年度別では09年度の96工場をピークに、10年度が83工場、11年度が64工場、12年度が61工場、13年度が35工場、14年度が11工場と年々縮小。11年に起きた東日本大震災や全国各地で頻発した豪雨災害、民間投資の復調による需要の回復で、全国的に集約化意欲が後退したためとみられる。一方、大阪兵庫で期間中に58工場減、北海道で32工場減と大きな成果を上げた地域もあった。
コンクリート舗装による需要開拓についてはエコ舗装WGやコンクリート舗装推進会議が刊行した普及用資料、DVDの内容を改めて紹介した。また、舗装用コンクリート試験の省力化に向けて、圧縮強度から曲げ強度を算出するための関係式のZKT案を記載した。
反発の多かったコンクリート主任技士の常駐化に関しては、09年度に実態調査を実施。10年度には実態調査をとりまとめるとともに、増員計画を審議した。これを受けて、全生連は11年度から各工組が実施する研修会への講師の派遣を行うようになり、昨年度は4工組の要請に対応した。また、昨年度の全国統一品質管理監査会議では主任技士の配置を「望ましい事項」に加え、主任技士の配置を推奨している。こうした成果もあり、生コン工場在籍者における主任技士取得者数は増加しつつある。ただ、全国品監の受審工場2590工場のうち、主任技士が不在の工場は845工場(約33%)に上ることから、今後も資格取得の支援を続ける必要があるとした。
継続課題としたのは、集約化と需要拡大、品質保証、生コン業界の社会的責任(法令遵守、瑕疵担保・損害賠償保険、環境保全)の4項目。社会的責任については、13年に行った組織改革に伴い、コンプライアンスやガバナンス、企業の社会的責任(CSR)を全生連が率先して取り組み、「生コン業界の範を示していく」とした。このほか、事業継続計画(BCP)といった新しい課題にも積極的に取り組んでいくと結んだ。