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2015年06月18日号

1;増える出荷ベース~生コン協組

生コンの販売で「出荷ベース」の価格改定を採用する生コン協同組合が増えている。コンクリート新聞が全国の協組を対象に実施した共販に関するアンケート調査で現在の契約形態について質問したところ、「出荷ベース」が35%を占めた。2009年3月の調査では15%だった。回答数は6年前が170協組、今回が124協組と異なるが、実数でも25協組から46協組と倍近くに増えた。東日本大震災以降の全国的な骨材価格の急伸や輸送コストの上昇などが背景にありそうだ。

生コンの契約形態はもともと、同一物件・同一価格が原則の「契約ベース」が主流。いったん契約をすると、販売価格が下がることも上がることもない。一方、セメント、骨材といった原材料価格は出荷ベースで価格改定が行われる。原材料の値上がり局面では、契約ベースの生コンは転嫁値上げが後追いになることから、コスト上昇分を生コン会社が負担するケースが少なくない。

今回の調査では、生コンの契約形態について、「契約ベース」が61・3%、「出荷ベース」が34・7%、「期間契約」が1・6%、「そのほか」が2・4%だった。6年前の調査に比べると、契約ベースが14ポイント低下した反面、出荷ベースが20ポイント上昇した。期間契約は4・3ポイントダウンした。

需要規模が小さい地方を中心に、出荷ベースが取り入れられている。需要に占める公共投資依存度が比較的高いことが共通点だ。ただ、市場占有率は必ずしも高いとはいえない。100%は2割弱で、全体平均とほぼ同じだった。

08年の原価急騰で生コンの契約問題が改めて焦点となり、出荷ベースや期間契約を取り入れようという声が高まった。その後のリーマン・ショックで原価は一時落ち着いたが、震災以降、骨材業者が販売攻勢を強めるなどコスト上昇圧力が再び強まっている。そうした中で出荷ベースの採用率が上がっている。

一方、民需依存度の高い大都市圏でも契約形態の見直しに踏み込む動きが出ている。東京地区生コンクリート協同組合は来月1日以降の引合分を対象に初出荷から24か月経過後、出荷遂行率が90%未満の物件の契約残の販売価格を見直す形に契約形態を改める。三多摩生コン協同組合も引合月から18か月後に販売価格を見直す契約形態を10月から取り入れる。対象は長期土木物件に限定する。

試験有料化広く実施

アンケート調査では共販以外で実施する事業について尋ねた。「現場代行試験の有料化」と「試し練りの有料化」を実施する協組が多く、124協組中それぞれ87協組、75協組に上った。

現場代行試験と試し練りの有料化は、需要規模の大小や地方、都市を問わず全国で広く実施されている。「戻りコンの有料化」は42協組、「出荷キャンセル有料化」は32協組で行われている。いずれも共販の付帯業務であり、それを有料化によって切り離した。

一方、コスト削減効果が期待できる「共同輸送」は16協組、「原材料等の共同購入」は8協組にとどまった。「共同金融」は11協組、「廃棄物の共同処理・リサイクル」が3協組。ほかに「伝票の共同購入」、「組合所有不動産の賃貸」、「プラント運営」などを行っている。