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2015年06月11日号

1;復興需要 沿岸部にシフト~震災被災地

東日本大震災被災3県の復興工事で、生コン需要の中心が沿岸部にシフトしてきている。津波被害を受けた太平洋沿岸部では復興工事が本格化して前年同月比で2倍近くに達する地区もあるが、内陸部の復興工事はほぼ終息して減少に転じている。復興工事が緒についた2012年には、骨材などの資材不足が顕在化したものの、地元生コン協組が域外からの骨材調達ルートを拓いて対応した。また、復興・公設プラントの設置で供給力が強化され、旺盛な需要にも応えられる体制となり、これらも出荷増に貢献している。

宮城の4~5月の出荷量(工組員)は、沿岸部の3地区(県南、石巻、気仙沼)は増加したが、内陸部の3地区(仙台、大崎、県北)は減少した。気仙沼地区は4月が前年同月比96%増、5月は92%増と、ほぼ倍近くに達した。気仙沼地区では協組員らによる復興プラント2基、公設プラント2基が設置されており、供給力が増強されている。また石巻地区も前年から引き続き出荷が旺盛だ。4月は62%増、5月も27%増となった。その一方で、大崎は4~5月の出荷量が前年同期の約半分にまで減っており、ほぼ震災前の10年度の水準となった。

岩手では、釜石市や宮古市などを主なエリアとする沿岸地区の出荷が増えてきた。沿岸地区では4~5月の出荷量は三陸道向けの出荷が本格化して前年同期比20%増だった。このほか、太平洋沿岸の気仙、久慈両地区も前年対比ではマイナスになるケースもあるものの、出荷は高水準を維持している。

復興工事が遅れていた福島も沿岸部の相双、いわき両地区で復興工事が本格化した。特に相双地区は昨年度下期から出荷が伸びている。相双地区の生コン出荷量は4月が53%増、5月が20%増だった。一方で郡山市を中心とする県央、福島市を中心とする県北両地区はマイナス。会津は復興道路などのほか、喜多方市役所、病院、復興公営住宅など建築物件もあり、プラスだった。

出荷平準化に期待

復興工事では瞬発力が求められるケースが増えている。比較的早期に着工される予定となっていた防潮堤工事も生コンの出荷時期が遅れ、復興道路などと工期が重なるケースもある。大型物件の発注が集中した沿岸部では、1工場当たりの出荷が月1万m3前後に上るケースも珍しくない。復興・公設プラントなどによって、製造力は確保されているが問題は輸送。

生コン工場では傭車を確保して対応しているが、大型物件の出荷が盛期を過ぎると、次の大型物件が発注されるまで傭車の使用先がなくなる。沿岸部の工場からは出荷の平準化を求める声が上がっている。