1;内需減速で営業減益~セメント専業決算
セメント専業大手2社が10日発表した2014年4~12月期の連結決算は、本業の儲けを示す営業利益がそろって減益となった。これまで利益を押し上げてきたセメントの国内需要の拡大にブレーキがかかったためだ。太平洋セメントは、今年度の内需予想を4800万トンから4600万トンに引き下げ、15年3月期の営業利益を前回予想に対し50億円減の650億円(前期704億円)、経常利益を同40億円減の630億円(同695億円)に下方修正した。
太平洋セメントの4~12月期の連結決算は、売上高が前年同期に比べ0・3%増の6219億円だった。環境事業を除いた全ての部門で増収を確保した。セメントは5%増の4209億円。セメント国内販売は1224万トンと3・3%減ったが、米国や国内での生コン・商社の売上高が伸びた。
営業利益は5・3%減の480億円。セメントは、海外は増益だったが、国内での販売減、固定費と変動費の増加が響き、10・6%減の306億円だった。首都圏の骨材需要の減少、震災廃棄物処理がおおむね終わった反動で資源、環境事業も減益だった。一方、ALC市況の改善などで建材・建築土木は26・1%増の31億円、その他は74・7%増の41億円だった。
経常利益は持分法投資利益の増加などで0・6%減の504億円と横ばいを維持。純利益は税効果などで43%増の339億円だった。
通期予想では、純利益は前回予想に対し40億円増の390億円(同352億円)と上方修正。税効果に加え、特別利益が当初見込みより積み上がる。
住友大阪セメントの4~12月期の営業利益は3・3%減の153億円だった。鉱産品は44・9%増、光電子は32・9%増、新材料は56%増と大幅増益の一方で、セメントは112億円と10%減った。値上げ効果で7億円、燃料費低減で14億円と利益を積み上げたものの、為替の影響など(25億円)、数量減(4億円)、電力(7億円)などの悪化要因を吸収できなかった。セメント販売量は国内が1・8%減の706万トン、輸出が2・3%減の68万トンだった。
建材も重金属不溶化材の販売減で38・2%のマイナスだった。
経常利益は、配当金の増加などで176億円と2・2%増えた。純利益は、4~9月期にベトナムの二次電池材料の生産設備の減損損失を計上したため、14・9%減の89億円だった。
15年3月期の業績は従来予想を据え置いた。