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2015年01月22日号

1;秩序回復は待ったなし~大阪の生コン

「価格の安定には協組の一本化が不可欠だ」。13日に開かれた大阪広域生コンクリート協同組合の新年互礼会。年頭のあいさつで木村貴洋理事長は、協組林立状態の解消が、受注競争に終止符を打つ唯一の手段との認識を示し、「乗り遅れた流れに再度乗るチャンス」と結集を呼びかけた。販売価格の長期低迷で、生コン事業者の体力は低下の一途で、淘汰・再編の加速懸念が増す。市場秩序の回復は待ったなしの状況となっている。

大阪市場では2010年暮れから大阪広域、阪神地区、大阪レディーミクストコンクリートの3生コン協組と員外社の「四つ巴」の厳しい受注競争が続いている。市況は陥没圏で推移。収益の悪化を映して経営破綻や事業譲渡、撤退といった淘汰・再編がじわじわ進行する。

採算割れ受注など行過ぎた競争の余波が生コン品質に及ぶことを懸念した大阪兵庫生コンクリート工業組合(小林俊雄理事長)は一昨年、3協組統合を提案、調整に乗り出した。昨春までの合意形成を目論んでいたが、調整が難航、今に至っている。

一方、大阪広域生コン協組は昨春から売価改善に踏み出した。二段構えで、4月から値戻しに着手、10月から販売価格を1000円引き上げた。だが、「なかなか結果に結びついていない」(木村理事長)と現時点で得られた成果は限定的。同協組のシェアは40%に過ぎず、市況形成のけん引力に欠けるためだ。

ただ、所属協組を問わず「価格を上げたい」と組合員は口を揃える。「労多くして益少なし」の競争の結末に徒労感も台頭する。早期正常化の必要性は共有されており、3協組統合構想は潰えていない。だが、残された時間は限られており、このまま再び年を越すようだと、経営破綻の続出など業界全体の地盤沈下を招く恐れがある。

9日に開かれた大阪兵庫生コン工組の新年互礼会で小林理事長は「(大阪市場を)建て直すぎりぎりのところに来ている」との認識を示した。3協組統合の実現にむけて「今年も継続的に調整に努める」と決意を表明したうえで、「悠長に構えている時間はない。一人ひとりが傍観することなく、業界のためにできることを考え、行動に移さないといけない」と決断と実行を求めた。