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2014年07月24日号

1;流動化コンに脚光

ゼネコン各社が現場で流動化剤を添加して中流動・高流動コンクリートを製造する技術を実用化し、混和剤メーカー各社が増粘成分を有する流動化剤のラインナップを充実したことで、一般的な強度レベルのコンクリートを中流動・高流動コンクリートにアップグレードすることが可能になった。これにより、流動化コンクリートの採用実績が徐々に増えつつある。

土木・建築とも鉄筋が過密・複雑化している。このため、通常のスランプで管理されたコンクリートでは確実な充填が難しいケースが増え、施工不良につながるリスクが懸念されている。

特に、建築工事では流動性を確保するためにJISの星取表の中からフロー管理のものを選択して対応している。高強度コンクリートの範疇ではセメント量が増えるため、水和熱によるひび割れリスクの発生やコストアップにつながることも懸念されている。技術的に対応できる生コン工場が限られることも大きな課題となっていた。

そこで、ゼネコン各社は増粘剤一液型の混和剤を活用し、生コン工場の設備や規格・規準類などの制約にとらわれない高性能な流動化コンクリート製造技術を確立した。

JIS規格に適合したコンクリート、流動化剤を使用するため、特別な設備や高強度コンクリートの大臣認定を持たない一般的な生コン工場のコンクリートでも対応でき、地域を問わず汎用的に採用できるのが大きな魅力だ。

大林組では、増粘成分を有する流動化剤を用いた高性能な流動化コンクリートを「フローアップクリート」の名称で展開している。CFT造や免震装置の基礎、締固めが困難な箇所のコンクリートに採用しており、これまでに5物件で累計3000m3の打設実績(予定含む)がある。スランプの低下が懸念されるような夏場の施工や現場までの生コン工場からの運搬時間の長い現場での施工でメリットのある技術として提案している。締固め作業が軽減できるため、施工時に起因する欠陥を減らすこともできる。

鹿島はBASFの増粘剤一液型高性能AE減水剤「マスターグレニウム6500」シリーズを使った中・高流動コンクリートを開発し、トンネル覆工コンクリートの品質向上につながるメニューの1つとして提案している。

熊谷組では、グレースケミカルズが製造し、電気化学工業が販売する「ADVA―PLUS」を使った中・高流動コンクリートを実用化した。国土交通省発注の国道45号線石山田道路(岩手県釜石市)のトンネル覆工コンクリートに採用されている。