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2014年06月12日号

1;全国で生コン値上げ続く~本紙調査

全国各地で生コン値上げが続いている。コンクリート工業新聞が全国の生コン協同組合を対象に行ったアンケートによると、2014年1月以降、販売価格を引き上げた、あるいは引き上げを予定しているのは、回答した136協組中97協組と7割に上った。骨材やセメントといった原材料の値上がりと輸送コストの上昇が主な理由だ。生コン業界では一昨年秋頃からコストアップ問題が顕在化。コストはなお膨らんでおり、再値上げや再々値上げに踏み切る生コン協組が相次いでいる。

生コンの値上げ額の回答を4つの幅で括ると、「1000円以上2000円未満」が55協組と最多。次いで「500円以上1000円未満」で31協組、「2000円以上」で5協組、「500円未満」で3協組の順。全体の6割強が1000円以上の値上げを実施、あるいは予定している。

値上げの理由を9項目の中から3つ選択してもらったところ、「生コン輸送費の上昇」が77件と最も多かった。燃料価格の高止まりやミキサ車不足に伴う庸車料金の値上がりなどが要因と見られる。

次いで「骨材の値上がり」76件、「セメントの値上がり」55件と続く。輸送能力や生産能力の不足、資源の確保難を理由に、骨材値上げの動きが全国的に広がっている。その販売姿勢は一様に強硬で、値上げを押し切られる場面が目立つ。セメントの価格も今春、一部の地域で浸透した。メーカー各社はトン当たり500円を軸に交渉を継続中で、今後、受入れが広がる公算が大きい。

このほか、「出荷数量の減少」19件、「電力料金の値上がり」11件など。これまでの同様の調査で一定数を占めていた「下がった価格を元に戻す」(値戻し)との回答は僅か4件だった。この2年余りで価格が低迷する、いわゆる陥没市場での協組共販の再構築の進展が、その理由と見られる。

アンケートでは各協組が直面する課題について、重要度の高い順に3つ挙げてもらった(記述式)。それによると、ほぼ半数の組合が「値上げの浸透」、「適正価格の確保」など販売価格に類するものを第1に挙げた。過去の調査において第1の課題に掲げる協組が多かった「工場集約化」は2番目以降の課題にランクダウンした。足元の需要環境が比較的堅調なため、需給問題への踏み込みが緩んでいる様子がうかがえる。

一方、建設業界の人手不足に伴う現場工程の遅れで生コン出荷に影響が出ているかどうかたずねたところ、半数の68協組が「出ている」と回答した。  需要に対する生コンの輸送力について、「ほぼ充足」が67協組と最多で、次いで「不足」55協組、「充足」11協組の順だった。

「不足」と回答した協組にそれをカバーするための対策をたずねたところ、「発注物件に近い工場へ割決し、輸送効率を高める」、「組合員各社が互いに貸し借りを行っている」、「組合として庸車契約を行っている」、「共同輸送事業強化」、「組合員間での融通を協組を通じて行う」、「隣接協組への応援要請」などの取組みが寄せられた。