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2014年04月17日号

1;生コン・製品の倒産半減

経営環境の改善を映して生コンや販売店の倒産が減っている。東京商工リサーチのまとめによると、2013年度のセメント・同製品製造業(生コン・コンクリート二次製品)の倒産件数は前年度に比べ45・8%減の13件とほぼ半減した。負債額も7割減となり、件数、負債額とも過去10年で最少だった。公共投資の増額など建設投資の回復に伴い生コンやコンクリート二次製品の需要が全国的に底堅く推移していることが要因だ。

東京商工リサーチが8日発表した13年度の全国企業倒産件数(負債額1000万円以上)は10・1%減の1万536件だった。5年連続の減少で、1万1000件を下回ったのは23年ぶり。同社は中小企業金融円滑化法の期限切れに伴い実施された中小企業金融モニタリング体制の効果などを挙げている。負債額は9・7%減の2兆7749億9200万円と89年度以来、24年ぶりに3兆円を割り込んだ。89~90年度はバブル景気の終盤で経営環境は好調だった。昨年度の倒産はその水準に迫った。

東証1部・2部の上場企業の倒産は19年ぶりにゼロだった。また、業種別倒産件数は、10業種中金融・保険を除く9業種で減少。建設業は20・4%減の2280件と過去20年で最少だった。

セメント・同製品製造業の倒産件数は5年連続で前年を下回った。直近のピークの08年度の2割という低水準。負債額は69・8%減の48億5900万円だった。

10億円以上の大型倒産は80%減の1件。昨年7月に破産した生コン製造販売のエス・ジェイ(三重県)で、負債額は約10億円だった。負債額5億円以上は半減の5件で、内訳はエス・ジェイのほか、生コン製造販売の武田誠産業(和歌山県、破産、負債額5億7600万円)、コンクリート二次製品製造販売の亀元コンクリート(宮崎県、民事再生法、同7億2100万円)、福田ヒューム管工業(秋田県、破産、同5億1300万円)。

セメント卸売業(セメント・生コン販売など)の倒産件数は88・9%減の1件、負債額は94・9%減の1億3000万円だった。セメント・骨材販売のユニ・テック(和歌山県)で、競争激化や資金繰りの悪化を理由に昨年夏に破産した。

全国生コン両連合会のまとめによると、昨年度の全国の生コン出荷数量は4~2月で前年比7・7%増の9059万m3だった。10地区中関東二区を除く9地区で前年実績を上回った。生コンの市況水準も全国的に上がっている。コンクリート二次製品の需要環境も比較的堅調。経産省統計によると、昨年(暦年)の出荷は7品目中ヒューム管を除く6品目で増加した。中でも、ポールや護岸用コンクリートブロックは約1割増と高い伸び率だった。

東北震災復興や災害復旧、都市圏での民間投資が生コンや製品の需要を押し上げている。収益が改善して一息ついた状況で、これが倒産減少という形であられているもよう。今年度も堅調需要が続く見通しであることから、倒産件数は低水準で推移する公算が大きい。