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2014年03月27日号

1;コスト上昇圧力増す~生コン

生コン協同組合がコストアップ対応に追われている。コストを押し上げている最大の要因は骨材で、その販売姿勢はかつてなく強硬だ。生コン協組はコスト転嫁の値上げに取り組み一定の成果をあげているものの、コストアップが度重なりイタチごっこの状況に陥っているところもある。諸資材価格の上昇はなお続くとの見方が支配的であり、生コン製造業界は来年度も厳しいコストアップ圧力にさらされることになる。

今年度の全国の生コン需要は9800万m3前後となる見込み。直近のボトムの2010年度に比べて1200万m3以上回復する。東北での震災復興に加え、都市圏での民需も堅調を持続。今年度はそれに九州などでの災害復旧が加わり、需要拡大に勢いがついた。

コンクリート工業新聞は14年度の生コン需要について、建設投資が減少に転じるとの建設経済研究所の予測をベースに、9500万m3前後と試算している。だが、建設現場の人手不足や2月の大雪の影響などで繰り越される工事も少なくないことから、来年度も9800万m3規模を確保する可能性が高い。

皮肉な現象だが、需要の回復がコストアップ圧力を増幅させている。生産・物流能力の低下や資源確保難で増える需要に追い付かないとして、全国各地で骨材値上げの狼煙が上がる。「値上げを受け入れなければ供給を止めると迫られる。一昔前までは考えられなかったことだ」(近畿の生コン会社)。こうした声が全国各地で聞かれるようになった。東北では一部地域を除き骨材価格の上昇ペースが鈍化してきた感があるものの、ほかの地区はなお上がりそうな状況だ。

関東一区では、三多摩生コン協同組合や玉川生コン協同組合などが1年で2度目となる値上げを決めた。異例の措置であり、今回のコストアップの深刻さを裏付ける。一方で「骨材値上げを受け入れても安定供給が確約されない。この姿勢に違和感を覚える」(埼玉の生コン会社)と反発の声が上がり始めている。値上げで得られた原資が供給体制の再整備に振り向けられるのかどうか懐疑的な見方も広がる。

地域によって強弱はあるがセメントメーカー各社が値上げ実現を目指して交渉姿勢を強めており、また、一部の混和剤メーカーも値上げを打ち出している。需要回復が生コン運搬車の不足など輸送コストの上昇を引き起こしている。

生コン協組は来年度も引き続きコストアップ対応を迫られるのは必至だ。こうした中で生コンの契約問題に再び焦点があたっている。これまでの物件単位の契約ベースではコストアップに対応できなくなりつつあるためで、出荷ベースや期間契約、13か月条項が改めて浮上してきている。