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2014年01月23日号

1;値上げ交渉が山場へ~首都圏の骨材

首都圏で生コン用骨材の値上げ交渉が始まった。資源の枯渇やリーマンショック後の需要減に伴う設備削減による生産能力が低下に加え、ダンプ、船舶の不足など物流の弱体化を背景に、骨材業者の売り腰は依然として強い。交渉はこれから春にかけて山場を迎える。首都圏の生コン協同組合は一昨年から昨年にかけて骨材価格の上昇分を転嫁する生コン値上げを行っているが、その浸透を前に、再値上げの打ち出しが相次ぐ。

4月に向けた値上げ表明が早かったのは栃木の砕石業者だ。昨年11月に4月出荷分からトン当たり1000円以上(東京地区)の値上げを打ち出した。昨年末から東京や神奈川の砕石業者も値上げ交渉に入り、「在庫なし。選別出荷」を合言葉に、強硬姿勢を崩していない。

こうした中、生コン需要だけでなく、路盤材需要も増加しているほか、圏央道の相模原愛川IC~高尾山IC間では、建設残土の運び出し作業が旺盛になっており、ダンプ車の手当てが難しくなっている。

首都圏の生コン工場で広く使われている千葉砂も昨年に続き、物流コストの転嫁を主眼とした値上げを実施する方針だ。

こうした状況を受け、首都圏の生コン協組も再値上げに動き始めている。これまでに横須賀地区、玉川、湘南、埼玉中央、埼玉県北部の5協組が500~1000円の再値上げに着手、あるいは打ち出している。

7日に開かれた東京地区生コン協同組合の新年賀詞交歓会のあいさつで吉野友康理事長は、セメントや骨材など原材料価格が上昇しているとし、「安定供給に向けて、もう一段の値上げを検討しなければいけない」と再値上げに言及した。同協組は昨年6月に販売価格を500円引き上げている。千葉の各協組も再値上げを検討中だ。

全国展開の石灰石や、西日本を中心に広く使用されている海砂を除くと、基本的に骨材は、生コンより少し供給範囲の広い、ローカル商品である。骨材の需給はタイトな状況が続く公算。生コン業界と骨材業界が地域の需給状況について情報交換を密にする必要がありそうだ。