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2014年01月16日号

1;大阪の正常化が焦点~生コン

近畿最大の生コン消費地、大阪ではこの3年余り、3つの生コン協同組合と員外社の4勢力による需要の争奪が繰り広げられている。生コン市況が長期低迷する中で、品質への影響を懸念する声も上がってきている。こうした事態を重く見た大阪兵庫生コンクリート工業組合は、3協同組合に対し、阪神地区、大阪レディーミクストコンクリート両協同組合が大阪広域生コンクリート協同組合に団体加入する再編・統合スキームを提案。今春までの合意形成を目指し、調整が進められている。だが、各協組の思惑が異なり、合意形成は一筋縄にはいかないと見る向きが多い。

大阪で4勢力入り乱れての受注競争が始まったのが2010年暮れ。シェアの急激なダウンに危機感を強めた大阪広域協組が販売政策を数量確保に一転させたことで、広域協組のシェアをほかの勢力が奪うという図式が崩れ、競争が激化した。  値支え役不在となりつるべ落としのように市況は下落、地域によっては「2000円ぐらい下がった」(府内の生コン会社)という。建設物価ベースでは、この3年余りで府内主要都市の表示価格は1200~1400円引き下げられ、1万1400~1万1800円(18・18・20)となっている。

府内の需要規模は推定550万~600万m3。550万m3の場合、各勢力のシェアは広域が40%、阪神、レディーミクスト、員外社がそれぞれ20%前後となる。ただ、1工場平均出荷ではレディーミクストが10万m3弱に対し、広域は3万m3台と3倍近い格差が生じている。

コストもじりじり上がる。電力料金が上がり、骨材も昨年の値上げによってほぼ全域でトン当たり150~200円上がったという。近畿でも骨材業者の販売姿勢は強硬で、供給停止も辞さない姿勢で値上げ受け入れを迫っている。今春に前回の積み残しの確保を含めもう一段の値上げが計画されており、骨材高基調はなお続く見通しだ。

7日に開かれた広域協組の新年会で木村貴洋理事長は「今春から原材料費と電力の値上がり分だけでも値戻しをしたいと考えている」と述べ、販売店やゼネコンに理解を求めた。広域協組は1000~1500円の値戻しを検討している。だが、競争が続く現状では、値戻しがシェアダウンに直結する可能性が大きいことから、容易には踏み切れない。環境整備が必要とされている。

大阪市場は、各協組が互いをけん制しあい動けない「三竦み」にも似た状況となっている。大阪兵庫工組は昨年、事態を打開するため、3協組統合のスキームを提案した。当初は12月までの合意形成を目指したものの進展せず、調整作業は新年に持ち越された。

大阪兵庫工組が10日に開いた新年会で小林俊雄理事長は「原価割れの生コンが出荷されているとの情報もあり、品質への影響を非常に危惧している」と憂慮を表明したうえで、スキームの具体化に向けて「今年も精力的に調整をしていきたい」と強調した。

競争の影響は隣接地域にも広く及んでおり、早期の正常化を求める声が高まっている。正常化への道筋が開けるかどうか大阪市場はこれから春にかけて1つの正念場を迎える。