文字サイズ(変更方法 文字サイズを大きく 文字サイズを小さく
2013年10月31日号

1;台風で海上輸送滞る~セメント

セメント協会が24日発表した今年度上期(4~9月)のセメント国内需要は、前年同期比7・3%増の2289万8千トン(9月輸入は見込み)となった。震災被災地や豪雨被災地での復旧・復興工事、大都市圏での再開発工事が押し上げた。下期に入っても勢いは衰えず、通期4700万トン超が射程圏内に入った。一方で今月の相次ぐ台風で工場からSSへの海上輸送が滞り、場外在庫水準が低下しているもよう。需要が最盛期を迎えるこれから年末にかけて需給は一段と逼迫する公算だ。

上期としては3年連続の増加だった。需要は全国的に堅調で、上期販売(輸入除く)は8地区でプラスとなった。中でも、東北、関東一区、九州の伸び率が高かった。都道府県別に見ると、前年実績を上回った29都道府県のうち、岩手、宮城、千葉、埼玉、愛知、和歌山、高知、福岡、熊本など17県で2ケタ増となった。

一方、輸出は、78万トンの大幅減少となった。メーカー各社が輸出を抑え込み国内に振り向けているためだ。

内需は下期も増加基調が続く。2月に成立した補正予算が徐々に実需化するため、増加ペースが加速するとの見立てもある。セメント協会では下期内需を「2410万トンプラスアルファ」と予想、通期では4700万トンを超え、前年実績を240万トン以上上回る。ボトルネックとされる現場の人手不足などが改善すれば、「4800万トンくらいになる可能性がある」(氣仙伊作流通委員長)。

9月末の在庫は前月比3・9%減の423万トン。メーカー各社は、安定供給を果たすため、生産、物流体制を強化、場外在庫の積み増しに努めている。だが、台風の影響で10月末在庫が従来計画を下回るのはほぼ確実。メーカー各社は、持てる能力をフル動員して難局を乗り切る構え。ただ、これからの工事の進捗や天候によっては供給懸念が浮上する可能性もある。

堅調需要つづく・矢尾会長

セメント協会は24日、記者懇談会を開いた。セメントの国内需要について矢尾宏会長は、震災復興や五輪需要を背景に「今後数年は比較的堅調に推移するものと思われる。業界をあげて生産・物流体制を整え、全力でセメントの安定供給に取り組む」と述べた。