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2013年09月19日号

1;有償化が最も効果的~戻りコン削減

コンクリート工業新聞は9月上旬に各都道府県の生コンクリート協同組合を対象に「残コン・戻りコン」に関するアンケートを実施した。それによると、残コン・戻りコン(以下戻りコン)の引き取り有償化について、回答した145協組のうち、32協組(22・1%)が「実施」しており、16協組(11・0%)が「今後実施する予定」と回答した。実施・予定の有無を問わず、過半の協組が有償化を最も効果的な戻りコン削減策と考えている。ただ、戻りコンの法的位置づけが明確になっていないことに加え、「現場が小刻みに注文してくる懸念があり、工場では残業が多くなる」など有償化の課題を指摘する声も目立った。(詳細は本紙9月26日付に掲載予定)

協組における戻りコン問題の重要度を聞いた質問で、「大きな問題」との回答が78協組(53・8%)で最多だった。次いで「中程度の問題」41協組(28・3%)、「小さな問題」23協組(15・9%)、「問題でない」2協組(1・4%)の順。

需要規模が比較的大きい都市圏で「大きな問題」との回答が目立った。地方では、戻りコンでブロックを製作・販売するなど二次利用の余地が残されていることが要因とみられる。

過去3年内外で戻りコンの発生量調査を実施したことがあるかとの質問に対し、「ない」との回答が101協組(69・7%)に上った。「ある」との回答は23協組(15・9%)、「今後実施する予定」を加えても39協組(26・9%)にすぎなかった。

戻りコンを「大きな問題」としながらも、協組として実態を十分に把握していない現状が浮き彫りとなった。「処理費用が経営を圧迫している」など問題の切実さを発注者や施工者に伝えるためにも発生量は最低限把握しておく必要がありそうだ。

現場との連携密に

戻りコン削減について効果が大きいと思われる順に最大3つ記入してもらったところ、過半数の協組が有償化を第一にあげた。これにはキャンセル料や処理料金の請求なども含む。「現場の正確な数量把握」、「施工側の意識改革」を求める声や、「現場と工場の連携を密にする」との回答も上位を占めた。

このほか、「出荷単位を0・25m3から0・1m3に変更」、「打設数量が多い現場に現場コントロール(営業)を派遣する」などの自衛策も寄せられた。

有償化の料金設定は、m3当たり3000~2万円。「実費請求」や、「4m3以上1台1万5千円」など車両単位で設定しているところもあった。

有償化によって戻りコンが「減った」との回答は32協組中13協組にとどまり、目的とする削減効果は十分に得られていないようだ。「(有償化の)料金が全額もらえているわけではない」、「料金を価格表に盛り込んだが取れていない」、「商社、販売店が有償化に消極的」など実行を伴っていない様子もうかがえる。ただ、「増えた」との回答はゼロで、購入者をけん制する効果はでている模様だ。

戻りコン問題に対する意見(記述式)として、「どの段階で産廃になるのか区分が判断できず、困惑している」、「都道府県によって意見(法的見解)が分かれていることが問題ではないか」、「戻りコンの法的位置づけを明確にしてほしい」など法的問題を指摘する声が多かった。また、有償化については、戻りコンを削減するため、少量発注や追加発注が増え、工場側のコストアップにつながるとの懸念が指摘された。現実に有償化を実施する組合からそうした傾向が見られるとの意見が寄せられた。