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2013年09月12日号

1;1DAY PAVE 注目度アップ~コンクリート舗装

セメント協会が開発した早期交通開放型コンクリート舗装「1DAY PAVE」が注目を集めている。施工実績は、2009年に太平洋セメントの熊谷工場(埼玉県熊谷市)の構内舗装の打換えに初めて採用されて以降、8月末時点で11件となった。普及に向けた環境も整ってきた。8月7日に国土交通省のNETISに登録され、国道や都道府県道など公道での採用拡大に期待が高まる。

1DAY PAVEは、高強度・高流動コンクリート技術をベースに、1日の養生で交通開放を行う、低コスト化を基本コンセプトに開発された。

早強ポルトランドセメントを使い、水セメント比を従来の舗装コンクリートに対し約7%低い35%にすることにより早期に交通開放可能な初期強度を確保する。スランプフロー40cmの軟練りなので、施工性にも優れる。また、一般的な生コン工場に常備されている早強セメント、高性能AE減水剤を基本材料とし、製造コストの低減と汎用性を高めた。

1DAY PAVEの主な用途は、小規模舗装工事や既設舗装の補修工事。これまでの施工実績はすべて既設舗装の補修に伴う打換えで、施工面積は合計で約1900m2。11件のうち、公道は、国交省が管理する宇治川の堤防天端舗装と東京・北区の区道の2件で、残りはセメントメーカーの工場やSSの構内舗装。宇部興産が所有・管理する宇部市内の道路で6月、これまでで最大の630m2が施工された。

セメント協会が1DAY PAVEの適用箇所としてターゲットに置くのが交差点手前の車両の停車位置だ。わだち掘れができやすく、交通開放が早く耐久性にも優れる1DAY PAVEの性能が最も発揮しやすい。

一方、施工から4年経った熊谷工場の構内舗装では、大型車が頻繁に出入りする建屋前の厳しい条件下で、すべり抵抗性の値が低下傾向を示したため、8月27日に「ダイヤモンドグラインディング工法」(DG工法。写真)による機能回復が行われた。

同工法は、ダイヤモンドブレードで舗装表面を削り凹凸をつけることにより、走行性の向上や表面形状を修復する。セメント協会は、施工後の試験ですべり抵抗性や平坦性が回復したことを確認した。

1DAY PAVEは型にはまった一様の技術ではない。初期強度など所定の性能が得られることを前提に、「発注者や施工者のコンセプトによって材料選定や施工に幅を持たせている」(セメント協会)。8月に三菱マテリアル・横瀬工場(埼玉県横瀬町)で行われた施工では、骨材に石灰石が使われ、打設にポンプ圧送が採用されるなど新たなアプローチが試みられている。

1DAY PAVEは柔軟性の高い技術であり、今後、様々な条件で施工を積み重ねながら、より使いやすいコンクリート舗装へと進化・発展していきそうだ。