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2013年03月14日号

1;戻りコン有償化の動き~関東一区

 関東一区で戻りコン有償化の動きが広がってきた。三多摩生コンクリート協同組合(立川市、矢島士郎理事長)は、戻りコンの発生量を抑制するため、「全く荷卸しせず工場に持ち帰った」戻りコンについて、製品代金に加えて、「キャンセル料」の負担を需要家に求めることを決めた。キャンセル料はm3当たり4000円で、6月1日以降の契約分から適用する。関東一区では、すでに玉川生コンクリート協同組合(川崎市、浮須和幸理事長)が8月末までに戻りコンの発生量が減らない場合は、9月1日以降の新規出荷分からキャンセル料としてm3当たり5000円の負担を求めることを表明している。
 東京都生コンクリート工業組合(込山久夫理事長)は2011年11月に残コン・戻りコン抑制対策委員会を設置し、戻りコンと廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)の関係や有償化の方法などを多面的に検討してきた。
 東京工組は発生抑制を求めて建設業団体や関係機関と協議を続ける中で、東京都環境局産業廃棄物課が、荷卸しをせずに持ち帰る生コンについて、売買契約の解除(キャンセル)として扱うことにより廃棄物には該当しなくなるとの見解を示し、有償化における最大のハードルだった法的問題がクリアされた。
 三多摩協組は、有償化に先立ち、キャンセル料をスライド表に記載し、具体的な手続きも定めた。また、戻りコン有償化と同時に、先行モルタル(ポンプ車用通しの小口モルタル)の割増料金4000円(1m3未満)の適用も始める。
 戻りコン有償化について三多摩協組は「戻りコンの処理費用が経営を圧迫している。数量管理の精度向上など現場に真剣に発生抑制に取り組んでもらうために有償化が必要と判断した」としている。8日から主要ゼネコンへの説明を始めた。
(発生量70万m3弱  秋田の出荷相当)
 関東一区の残コン・戻りコンの発生率は約3%で、全国平均の約1・7%の倍近い。昨年度の出荷実績(2220万m3)から算出すると、発生量は67万m3に上り、秋田県や佐賀県などの年間出荷量に匹敵する。関東一区の生コン工場は地方に比べて敷地が狭いため戻りコンの製品転用などが難しく、その大半が工場内で処理後、最終処分場に廃棄されている。最終処分場の廃棄費用を含め処理コストは年々上昇しているという。
 程度の差はあるが、ほかの地区も都市圏を中心に同じ問題を抱えている。懸案だった戻りコンの有償化に道筋がついたことで今後、関東一区にとどまらず他地区でも追随する動きが出てくる可能性もある。