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2012年12月13日号

1;生コン工場20%減~近畿の生コン

 近畿地区の生コン工場が3年半で20%以上減少した。需要環境の悪化、競争激化による収益の低迷が生産規模の縮小を促した。需要は昨年度に底を打ち上向きに転じ、需給バランスは一時期より改善してきている。しかし、一部の地域を除き収益改善は限定的。受注競争がなお続いていることが背景にある。
 9月末時点の近畿地区の生コン工場数は387工場で、2009年3月末との対比で105工場の減少だった。全国ではこの間、3911工場から3469工場と442工場減った。
 近畿がその4分の1を占める。各府県工組別では、大阪兵庫が84工場減の229工場と3割近く減った。和歌山が9工場減の43工場、滋賀が5工場減の29工場、奈良が3工場減の30工場、京都が4工場減の56工場となった。
 大阪兵庫では、大阪広域生コン協同組合が09~10年度にかけて約100億円を投じ、25工場を削減した。生コン産業の構造改革に伴い全国生コン両連合会が策定した資金調達スキームを活用し、シェア買取りや工場廃棄費用の一部を商工中金から借り入れた。神戸生コン協同組合も昨年度に4工場を削減した。このスキームを使った事例は全国でこの2協組にとどまる。
 さらに、大阪兵庫では、経営破綻も相次ぐ。大阪と神戸では昨秋、二次店最大手の経営破綻に連鎖する形で7社8工場が自己破産や民事再生の適用を受けた。このうち、これまでに操業を再開したのは神戸の1工場にとどまる。
 県下全域で統廃合が進展しているのが和歌山。橋本・伊都生コン協同組合の組合員が共同で昨春、生産受託会社を設立して4個1を行った。和歌山中央生コン協同組合では、集約拠点として組合プラントを建設、今春に2社の生産を統合。中紀生コン協同組合でも生産受託会社方式による統廃合が行われている。過去には紀北生コン協同組合が生産設備を75%削減する大規模集約を断行した。
 県下の生コン協組は総じて強い共販を展開しているが、統廃合による需給バランスの改善がそのベースになっている。値上げの浸透も早く、和歌山中央、紀北などが今春打ち出した1000円アップの新価格はすでに調査会表示に反映されている。
 一方、大阪では、広域協組がこの十数年で直近の廃棄を含め60工場以上を削減。だが、相次ぐ新増設でその効果が減殺されている。今も増設などの動きが見られる。受注競争は激化しており、市況も下降曲線をたどる。体力勝負の様相で、最近も1社が民事再生法の適用を申請した。当面、競争が終結する可能性は低い。淘汰・再編成を経て需給が一定の規模に収れんされたうえで、秩序回復に向かうとの観測も出ている。