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2012年10月25日号

1:荷卸し上限値37度で大臣認定~竹中工務店・寝屋川コンクリート

 竹中工務店と寝屋川コンクリート(大阪府寝屋川市)はこのほど、設計基準強度(Fc)39~100N/mm2で、荷卸し時のコンクリート温度の上限値を37度とする大臣認定を共同で取得した。今回の大臣認定の特徴は、高強度領域において、他の生コン工場にも適用可能な汎用性のあるデータに基づいた一般認定であるという点にある。竹中工務店では来年夏までに複数の工場と共同で同様の大臣認定を取得していく方針だ。(4面に関連記事)
 近年の夏期における気候変動に伴い、暑中コンクリートを取り巻く環境が過酷になっている。特に大阪は、日最高気温の最高値(平年値、1981年から2010年)が33・7度と、全国で最も高くなっていた。これを受け、大阪広域生コン協組と日本建築学会近畿支部材料・施工部会は2009年に暑中コンクリート対策委員会を設置した。荷卸し時のコンクリート温度が35度を超えた場合の性状や不具合防止策を検討し、今年7月も含めこれまでに報告会を3回開催している。また同協組は委員会に暑中コンクリート対策に関するマニュアルの作成を委託。委員会内に設置されたマニュアル作成小委員会が来年5月を目標に作成する予定となっている。こうした動きを受けて、竹中工務店でも暑中コンクリート対策の検討を行っていた。セメントの品質規格変更に伴った大臣認定の再取得に際して、暑中コン対策を盛り込んだ。
 今回の大臣認定の強度範囲はFc39~100N/mm2と広いため、施工する部位や強度に合わせて普通ポルトランドセメントとシリカフュームセメント(SFC)の混合比率を調整して使用する。2種類のセメントのみを組み合わせることで生産効率やコストも最低限に抑えた。認定範囲ごとの使用セメント種類は普通のみが39~60N/mm2、普通とSFCの組み合わせが48~80N/mm2、SFCのみが80~100N/mm2とした。今回の大臣認定が一般認定のため、竹中工務店では汎用的に利用していく。
 また、竹中工務店は北大阪菱光コンクリート工業、新関西菱光尼崎工場・泉北工場、関西宇部神戸工場・北港工場等と共同認定の取得準備を進めている。これから生コン工場と共同で取得する高強度コンクリート大臣認定は、宇部三菱セメントを使用している生コン工場に限り、条件が整い次第、コンクリート荷卸し時の温度の上限値を37度にして申請するとしている。