文字サイズ(変更方法 文字サイズを大きく 文字サイズを小さく
2012年10月18日号

1;東日本で上昇目立つ~生コン価格

 生コン価格はこの1年、東日本大震災の復旧・復興工事で旺盛な出荷に支えられた東北など東日本での価格上昇が目立った。建設物価10月号によると、全国の県庁所在地の生コン価格(18・18・20、以下表示のないもの)で、この1年間で価格変動したのは21都市で、上昇が12都市、下落が9都市だった。価格が陥没していた札幌と仙台、高知の上げ幅が大きかった。札幌、仙台、高知はそれぞれ2000円上昇し、現在は9150円、1万350円、8400円となった。札幌は生コン協組の共販再開、仙台は東日本大震災の復旧・復興による生コン需要の急増が要因。生コン協組が骨材などの諸資材高騰分の価格転嫁を進め、その効果が表れた。高知は前年の急激な下落に対する反動とみられる。
 札幌生コン協組は6月に共販を再開した。2010年3月の共販停止以後、一時全国最安値を記録したが、共販再建協議が進むにつれて上昇してきた。協組は6月から共販価格1万1000円(21・18・20)に設定して営業を行っている。
 仙台生コン協組は震災に伴う諸資材高騰の価格転嫁を進めて5ケタを回復した。仙台協組は10月から共販価格を1万2000円(21・18・20)とした。宮城県の太平洋沿岸部ではこれから復旧・復興工事が本格化する。宮城生コン工組は連絡協議会を設立し、県内の生コンJIS保有工場、原材料の供給者、行政の発注担当者らが協議し、生コンの安定納入に関する調整を進めている。
 鳥取で1400円、宮崎で1000円上昇した。鳥取は昨年に員外社が協組に加入している。宮崎では完全共販体制を敷く生コン協組の値上げが反映された。このほか福島、水戸、岐阜、松山でそれぞれ500円、山形、山口で400円、静岡で200円上昇した。
 一方、価格が下落した地域は西日本に多かった。最も下げ幅が大きかった熊本は900円下落の6300円で、全国最安値の大分に500円にまで迫っている。近畿も大阪、神戸、大津で小幅下落した。東日本で価格が下落したのは秋田、前橋、新潟の3都市。新潟は出荷減による員外社の影響力が高まったため。前橋は8月に大型員外社が協組に加入したことから今後市況の反転が期待されている。
 10月時点で1万円以下の都市は17、1万5000円以上は長野、京都、松江、宮崎の4都市だった。最高値の松江と最安値の大分の価格差は1万430円ある。