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2012年10月11日号

1;9000万m3台に回復へ~生コン

 今年度の生コン出荷数量は9000万m3を超えそうだ。全国生コンクリート工業組合連合会、同協同組合連合会の統計によると、4~8月の出荷実績は前年同期に比べ5・9%増だった。国土交通省は9月の生コン需要を前年同月比18・1%増の875万m3と予測しており、上期の増加は確実な情勢となった。下期も震災復興工事や都市圏での民需が下支えする。一方、一部地区では現場工事の遅れなど、下振れ懸念も存在する。
 全生連は今年度の需要を、前年度に比べ6・7%減の8205万5千m3(非組合員は推定)と予測。内訳は官公需が前年度比2%減の3620万m3、民需も4・9%減の4585万5千m3。地区別では東北と近畿の2地区が増加すると予想した。需要地の関東一区は東京、神奈川の民需減、東海は静岡県の新東名高速工事が終わったことによる減少を織り込んだ。
 ところが、震災復興工事の本格化に伴い、被災3県の4~8月の出荷は、岩手県が前年同期比で71%増、宮城県が177%増、福島県が55%増と急増した。また、茨城県、青森県も震災復興工事で大幅増となり、昨年豪雨被害のあった新潟県や奈良県、和歌山県も20%以上の増加となっている。さらに、都市圏の民需も底堅く推移した。
 この災復工事は下期も続くとみられる。また、南海地震対策の前倒し発注や耐震補強工事、九州北部豪雨の災害復旧工事などもあり、西日本も一部で需要環境が改善してきている。都市圏も民需の好調が予想より長く続いており、関東一区や近畿は横ばい、東海は名古屋地区での大型プロジェクト開始で増加を見込む。そのため、上期が4507万m3(9月は国交省予測)、下期が横ばいと仮定した場合、通期で9131万m3と9000万m3を超える。
 ただ、一部地区では専門工事業者の不足や出荷予定の遅れなどによる工事遅延を指摘する声もある。震災復興工事で人手や資機材が被災地に集まっていることが、下振れ要因となる可能性もある。