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2012年09月13日号

1;埼玉でがれき処理始まる~セメント3工場が受入れ

 埼玉県内のセメント工場で6日、東日本大震災で発生した震災がれきの処理が始まった。セメント工場でのがれきの「広域処理」は、八戸セメント(青森県八戸市)に次いで2例目。岩手県野田村周辺のがれきが対象で、1年程度かけて最大1万1300トンの木くずを、セメントの原燃料代替としてリサイクル処理する。セメント業界は、安全性の確保や地元住民の理解、風評被害の防止などを条件に、がれき処理に協力する考えを表明している。
 がれきの発生量(津波堆積物除く)は、岩手、宮城両県で約1600万トンと推定されており、国はそのうちの1割強、約170万トンを被災県以外の自治体で広域処理する方針を打ち出し、受入れを求めている。現時点で青森、秋田、山形、群馬、茨城、埼玉、東京、静岡、福岡の9都県で広域処理が行われている。
 埼玉県は昨年11月に岩手県からの広域処理要請を受け、3月25日に県内の太平洋セメントの熊谷工場(熊谷市)、埼玉工場(日高市)、三菱マテリアルの横瀬工場(秩父郡)で試験焼成を行い、放射線量・濃度が基準以下で安全であることを確認した。8月21日に岩手県と埼玉県ががれき処理に関する基本協定を締結。同31日に岩手県と太平洋セメント、三菱マテリアルが処理契約を結んだ。
 当初は熊谷、横瀬両工場で各2万トン、埼玉工場で2000トンの計2万2000トンを処理する予定だったが、国による広域処理量の見直しに伴い、熊谷、横瀬両工場で各5150トン以下、埼玉工場で1000トン以下と半減。受入期間も半年程度短縮した。
 埼玉県は、木くずの放射性セシウム濃度をキロ当たり100ベクレル以下と設定。安全性確保のため、岩手県内と埼玉県内で7段階11項目の放射線測定を実施する。セメント工場に木くずが入ったコンテナが搬入されるたびに、埼玉県職員が測定する。セメント製品とばい煙の濃度測定は月1回、工場側で実施し、3か月に1回、県がクロスチェックを行う。基準値を超えた場合は、受入れを直ちに中止、公表したうえで、原因を追及する。