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2012年09月06日号

1;IWA生コン国内初採用

 残コン・戻りコンから生産したリサイクル骨材「IWA骨材」を使用した生コン(IWA生コン)が国内で初めて採用された。静岡県のセイエン商事藤枝工場(藤枝市)と長岡生コンクリート(伊豆の国市)が、IWA生コンを民間の実構造物に出荷した。IWA生コンは生コン工場におけるゼロエミッション技術として注目されている。
 IWA生コンは、イタリアの混和剤メーカー、MAPEIが開発した薬剤を、残コン・戻りコンを積んだ生コン車に添加して、モルタルを骨材に付着させたIWA骨材を用いて製造する。生コン工場の廃棄物の排出量ゼロを目指している。全国の生コン有志が加盟する元気な生コンネットワーク(GNN)の参加企業はこれまで、IWA生コンの技術確立に向けたデータを収集するとともに、建設業者に対して実構造物への採用を働きかけていた。
 セイエン社は8月28日から倉庫の土間コン向けに呼び強度18、スランプ15cmのIWA生コンを約100m3出荷。粗骨材の30%、細骨材の約15%をIWA骨材に置換。また、スランプロスの改善、リサイクル材の使用比率向上を目指して細骨材の30%を銅スラグ骨材に置き換えた。
 長岡社は9月1日から擁壁向けにIWA生コンと普通生コンをそれぞれ約20m3を出荷している。粗骨材の50%、細骨材は12%をIWA骨材に置換した。IWA・普通生コンの呼び強度はともに21でスランプは8cm。施工環境も同じことから、長岡社は今後、IWA生コンと普通生コンの経年劣化などの経年データを収集していく考えだ。
 長岡社のIWAコンの施工を担当した加和太建設は「打設は普通生コンと変わらない。これから性能を確認していきたい」と語っている。一方で残コン・戻りコンの発生量にIWA骨材の生産量が左右されないような供給体制の構築を求めた。
 GNNでは今回の施工を「リサイクル生コン普及への第一歩」と位置付け、技術の確立を急ぐ。GNNと提携しているMAPEIは6月に開かれたERMCO(欧州生コン連合)の会議でIWA生コンを「RE―CON・ZERO」の名称で紹介。また、来年東京で開かれるICCS(国際コンクリート会議)でIWA生コンを世界に紹介する予定だ。