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2012年08月30日号

1;迅速法 開発進む~乾燥収縮

 コンクリートの乾燥収縮試験で、建設や生コン、学協会が1か月程度で収縮率を推定する迅速法の開発が進められている。27日に都内で開かれた日本コンクリート工学会のコンクリートの収縮特性評価およびひび割れへの影響に関する調査研究委員会(河野広隆委員長)の報告会で、迅速法の試案が示された。
 現在、コンクリートの乾燥収縮試験として行われているJISA1129(モルタル及びコンクリートの長さ変化試験)は、試験期間が6か月かかるため、実際の工事現場で使うコンクリートの評価に適用するには実用的ではない。このため、経済性や汎用性を考慮し、より簡易で迅速な試験方法の確立が求められている。そこで、同委員会は、予測式を使って材齢28日(1か月)の乾燥収縮率から182日(6か月後)の乾燥収縮率を推定する「コンクリートの乾燥収縮率迅速推定方法」を提案した。すでに数多くの乾燥収縮予測式が提案されているが、その一例として日本建築学会の提案式を紹介した。
 全国生コン工組連の中央技術研究所では迅速法の開発を今年度の最重要課題に位置付けている。生コン工場の試験室でできる簡易な迅速法を開発し、全生連規格ZKTとして制定する計画だ。ゼネコンからは高温・減圧養生を繰り返した反応促進方法や推定式を用いる方法が提案されている。いずれも1か月以内に試験結果が出るため、実際に打設する配合で試験することも可能だ。これらの迅速法の試験精度が上がれば、生コン工場における試験練り段階の標準試験として定着する可能性もある。
 同委員会は研究成果を基に、電気抵抗を用いて粗骨材の乾燥収縮率を測定する「ひずみゲージによる粗骨材の乾燥収縮率試験方法」、JISR5201に準じて作製したモルタル(JISモルタル)の乾燥収縮率からコンクリートの乾燥収縮性状に及ぼす影響を評価する「JISモルタルによるコンクリート構成材料の乾燥収縮影響評価試験方法」を提案した。