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2012年08月23日号

1;コンクリート舗装仕様書へ盛り込み検討~国土交通省

 国土交通省が今年度の道路関係予算で、「耐久性に優れるコンクリート舗装の積極的活用」を盛り込み、改めてその活用が見直されているコンクリート舗装。国交省道路局の国道・防災課の松田和香課長補佐は「来年度以降もコンクリート舗装を継続的に、適材適所で積極的に採用できるよう仕組みを考えていきたい」としている。
 コンクリート舗装は現在、一般国道(指定区間)の全延長の約5%しかない。国土交通省管轄で、今年度に供用開始される道路のうち、コンクリート舗装が採用されたのは約80キロで、このうちトンネル内が88%(約70キロ)。その他はわずか10キロで、ほとんどは高規格道路におけるトンネルとトンネルの間(まばたき部)だった。こうした中で、同省はコンクリート舗装の長所である高耐久性に基づくLCC(ライフサイクルコスト)の低減効果などを再評価し、今年度予算にコンクリート舗装の活用を盛り込んだ。
 7月31日に公表された国土交通省の技術基本計画(素案)では、社会資本の維持管理の項目で「維持管理対策にあたっては、新技術の導入と共に既存の有効な技術の適用が重要であり、例えば、コンクリート舗装等耐久性の高い素材の採用等が挙げられる」と明記。また、6月に提言された社会資本整備審議会道路分科会建議中間とりまとめにも、LCCの最小化と道路の品質確保の項目で「高い耐久性が期待されるコンクリート舗装の積極的な活用」と謳われている。
 今後のコンクリート舗装の具体的な施策について、松田課長補佐は「『適材適所』でコンクリート舗装かアスファルト舗装を選定するには、今トンネル設計で運用されているように、舗装の比較検討を行うプロセスを設けることが現実的。仕様書などに盛り込んでいくのかも含めて検討している」と語る。これが盛り込まれるようになれば、「設計段階からコンクリート舗装が選択肢として意識されることで、現状よりも採用されやすくなるのでは」としている。
 ただ、同省もすぐに適材適所でコンクリート舗装を合理的に選定できる状況にあるわけではない。現在、同省の出先機関に在籍し、コンクリート舗装の整備比率が現在よりも高かった時代を知る担当者のほとんどは50代後半。コンクリート舗装を発注した経験のある技術者が非常に少ないためだ。
 今回の施策盛り込みで、地方整備局や国道の管理事務所などの職員もコンクリート舗装に興味を持つ職員が多くなっているが、「ノウハウの蓄積や学ぶ場所がない」(松田課長補佐)状況が続いている。こうした中、各地方整備局でコンクリート舗装の現場見学会を開くと、20~30代の若手職員の参加も多く「生コン・セメント業界から見学・勉強会の呼びかけがあれば、参加する職員は多いはず」(同)と、両業界からのアプローチを歓迎する。
 また、コンクリート舗装に関する学識経験者が少ないことも、適材適所を選定する上での課題になるという。松田課長補佐は「全国にコンクリート舗装の学識者は数名程度しかいないと聞いている。各地方整備局にアドバイザーとなる方がいれば、舗装の材料を選定する段階で意見を求めることができる」とし、学識者の存在が今後コンクリート舗装の推進を推進していく上で、必要になってくるとした。