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2012年08月09日号

1;生コン産業規模は1兆1190億円〜本誌推定

 コンクリート工業新聞の推定によると、生コンの産業規模は、昨年度の売上ベースで1兆1190億円だった。公共投資の削減などによる需要の長期減少で、かつて2兆円産業といわれた面影はない。
 経済産業省の生コン流通統計調査と全国生コン両連合会が集計する生コン出荷数量(非組合員推定)から産業規模を算出・推定した。
 2兆円の大台を割り込んだのが1997年度で、前年に比べ約2350億円減の1兆9740億円に。以来、2兆円台に回復することはなく、増減を繰り返しながら産業規模は縮小の一途をたどり、03年度に1兆5000億円台を、04年度に1兆4000億円台をそれぞれ割り込んだ。
 都市圏でのマンションなど民需が一時的に復調した06年度に1兆4140億円に回復したものの、改正建築基準法の施行による許認可厳格化で民需にブレーキがかかった07年度から再び縮小局面に入りした。リーマン・ショックなど内外の経済変動も重なって需要減少が加速し、産業規模は08年度に1兆2200億円、09年度に1兆850億円、10年度に1兆830億円にまで縮小した。需要が増加に転じた昨年度は、1兆1190億円と5年ぶりに前年を上回った。昨年度の産業規模は、企業では大林組や京セラなどの連結売上並み。
 産業規模の縮小に抵抗するように、06年度以降、生コンの生産者価格は上昇基調が続いている。05年度に1m3当たり全国平均が1万1380円にまで下落したが、昨年度は1万2726円と7年で12%(1346円)上昇し、縮小ペースをやや弱める働きをしている。仮に昨年度の生産者価格が05年度水準だった場合、1兆円割れ寸前まで縮小していたということになる。ただ、08年度にセメントがトン当たり1000円値上がりするなど、この間に諸資材価格も上昇している。