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2012年07月26日号

1;骨材確保が最大焦点~仙台の生コン

 仙台地区では本格的な災害復興事業の一つとして、まず動き出したのが防潮堤で、同地区エリアの約50工区のうち6工区への生コンの出荷が6月から始まっ たが7月になると、砂生産者の一部が生コンへの砂の出荷制限に入り、その後、出荷制限は広がっている。生コンの生産はそのため制約を受けており、代替の確 保策がまだみえていない。
 仙台地区生コンクリート協同組合(仙台市、14社14工場、菊地雄一理事長)は今後の生コンの需要量把握の精度を高め、供給体制を維持する努力をする旨を、このほど販売店に文書で知らせ、理解を求めた。
 仙台地区の生コン用砂は県内5社から供給されているが、3社は宮城県内外の広範な地域にも砂を納めており、大震災後は石巻などの激甚被災地を中心に需要が膨張して、供給力が不足するという事態になっている。
 砂の需給がひっ迫することはある程度予想されてはいたが、仙台地区で防潮堤の6工区への出荷が始まったところで出荷が制限されたことは、生コン生産者にとっても予想外。防潮堤は工期が来年2月末までと決められている。
 今後は防潮堤以外にも護岸、港湾の整備などが予定されている中で、砂不足にどう対応していくかが最大の課題となっている。県の砂生産者は現有設備で目一杯の生産をしているが、さらに増産するための設備投資にまでは踏み出していない。
 復興事業の遅延を避けるには、一つには県内の砂の増産が行われることであり、生コン生産業界にはそれを望む声がある。それが達成されないのであれば、県 外から砂を引いてくるしかない。それがこれから行われるとすれば、どのような形で行われるかが焦点になる。その場合には港のバースが必要だが、公共のもの が使えないときには民間のバースを使わせてもらうというような手も講じる必要が出てくる。またセメントメーカーがそれぞれのユーザーに砂を供給するルート を開くというのもありうる展開の一つとみられる。
 仙台地区ではいま、工事発注官庁、施工者、砂生産者、生コン、関連業界の各分野の関心が砂一点に集中している。発注者は工事を発注しても予定通り行われるかが読み切れず、施工者にとっては生コンがどのように納入されるのかが不透明。
 今後の展開によっては生コン工場への砂の行き渡り方に濃淡が生じる可能性も指摘される。また生コン出荷が緊急度の高い工事向け優先への傾斜を強める公算もある。骨材価格がさらに上昇することは避けられない状況だが、どの水準の市況形成になるのかがまだみえていない。
 骨材に関しては、今回のように問題が大きくなると、生コン生産者側としては有効な解決策を打ち出すのはなかなか難しいが、生コンの共販を行う仙台地区協 組には、国や県に調整してもらって県外から骨材を引くルートを開いてもらい、生コン側は公平にそれを利用するというような方法が講じられることが望ましい という考えもある。仙台地区協組は関係先に現状について説明して理解を求めるとともに、事態打開へ向けて取り組む方針だ。