文字サイズ(変更方法 文字サイズを大きく 文字サイズを小さく
2012年07月12日号

1;骨材の種類増やしリスク分散~全生連

 全国生コンクリート工業組合連合会(全生連)は昨年10~11月に組合員工場を対象として、コンクリート骨材に関する実態調査を行い、このほど調査結果をまとめた。全国的な調査は12年ぶり。この間、西日本では瀬戸内の海砂採取規制、中国政府による川砂の輸出禁止のほか、首都圏をはじめとする都市部では乾燥収縮問題を契機に石灰石骨材を使用する工場が増えた。
 今回の実態調査は、自然環境保護の高まりによって、安価で良質なコンクリート用の天然骨材の調達が困難になっているとして、実施した。これまで骨材の実態調査は日本建築学会が1981年と89年、全生連とセメント協会が00年に実施して以来12年ぶりとなる。回答率は68・8%(1940件)だった。
 骨材使用量の推移は経済産業省の統計データから算出。以前から粗骨材として使用されてきた砕石は、生コン出荷量の減少に伴って使用量も減ってきたが、砕砂の使用量は生コン出荷がピークだった89年度からほとんど変わっていない。細骨材として使用量が多かった天然砂が減ったため、相対的に砕砂の使用割合が高まっている。また砕砂と同様に高炉を始めとするスラグ細骨材もその地位を確立した。
 使用骨材の種類は粗・細骨材とも増えている。粗骨材は2種が46%で前回に比べ8ポイント減だったが、3種以上は9ポイント増の47%となった。細骨材は2種が58%、3種以上が9%で、前回調査(2種以上が63%)より4ポイント増えた。混合利用のほか、ゼネコンによる石灰石骨材の指定などの影響もあるとみられる。骨材の品質規格の変遷、CO2排出量(輸送距離)なども計算した。
 今後の骨材の動向については、粗・細骨材とも「量、質ともに問題なし」とする工場が多かった。粗骨材ではすでに砕石が主流になっていること、細骨材では砕砂の導入や天然骨材の供給が今後も安定するとみられる地域が多いことなどが挙げられる。数量不足や品質低下を懸念する工場では、使用する骨材の種類を増やしてリスクを分散している。ただ、特定の骨材が供給不足になる可能性が危惧されており、主な原因としては価格の上昇、原石山の終了、骨材生産の絶対量が少ない、風致地区の採取規制などがある。
 骨材の供給を安定させるため、他の骨材を探査や購入地域の拡大、骨材の品質規格の緩和などを検討している生コン工場が多いようだ。ただ、骨材の購入予算を増やすという工場は少ない。
 新たに導入する細骨材の種類は砕砂が多かった。粗骨材は、回答数は少ないが、川砂利、山砂利、高炉スラグ粗骨材の使用を検討している工場もあった。