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2012年06月21日号

1;市況じわり上昇~生コン

 全国的な需要回復や協組の組織率向上を背景に、全国的に生コン価格がじわり上昇してきた。世界的金融危機以降低迷していた需要が反転したことで、一時に比べると需給にタイト感が出てきている。需要回復の追い風を市況改善に活かすため、各地区で協組の再建などが行われている。
 全国の県庁所在地の建築標準(18・18・20)の表示価格を建設物価の今年6月と昨年6月を比較した。これによると、13都市で上昇、8都市で下落した。上昇幅が大きかったのは、札幌で2000円上昇の7650円となった。昨年に一時5650円と全国最安値となったが、その後は上昇に転じている。今年5月には員外4社が札幌生コン協組に加入し、今月から2年3か月ぶりの共販再開に漕ぎ着けた。当面の目標は共販休止前と同価格の確保で、現在の表示価格に対して3000円アップとなる。
 長年市況が低迷していた仙台も骨材の値上げや輸送コストの上昇などで、底上げを果たした。すでに国交省の積算価格は1万1000円近くになっている。仙台協組は調査会に実勢価格の反映を求めている。仙台地区では民需回復に加え、被災地の復旧事業もあることから、今後も生コン需要は堅調に推移しそうだ。東北では福島や山形も小幅上昇している。鳥取、松山、宮崎でそれぞれ1000円上昇した。鳥取では、昨年度に員外社が鳥取東部生コン協組(鳥取市)に加入し、組織率が向上した。松山は中予生コン協組(松山市)の再構築が進展。宮崎は宮崎生コン協組がコストの転嫁値上げを行った。
 首都圏では民需の回復が、生コン協組による市況対策を後押ししている。昨秋から各協組が相次いで値上げを表明している。
 一方で急降下したのは高知。この1年で5300円下落した。高知は10年に高知中央生コン協組(高知市)からの脱退問題や、隣接地区からの越境問題に端を発して、共販体制が事実上崩壊。その後も脱退社が後を絶たず、生コン価格は全国ワースト2位の6400円となっている。
 価格が下落した全国8都市のうち、近畿圏は大阪、神戸、大津の3都市だった。近畿の中心地、大阪は3協組と員外社の4勢力が競争を繰り広げており、1年前に比べ600円下落の1万2000円となった。
 このほかの地域でも、価格改善に向けた動きが活発化している。福岡地区は飯塚地区との広域化と員外社の加入によって、市況改善に繋げる動きがある。また、福井では福井県嶺北生コン協組(福井市)を発足し、今秋からの共販開始に向けて協議を始めている。