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2018年07月12日号

1;「12cm」対応広がる~生コンのスランプ

国土交通省が土木物件に使う生コンの標準的なスランプ値をそれまでの8cmから12cmに引き上げてから1年が経過した。そこで、コンクリート新聞社が各都道府県でもスランプを12cmに変えたか調査したところ、全国47都道府県のうち、32都道府県がすでに対応を進めていることが分かった。積算基準や共通仕様書、施工要領などの設計図書を改訂するタイミングで変更するケースが多かった。
国交省はコンクリート生産性向上検討協議会が「流動性を高めた現場打ちコンクリート活用に関するガイドライン」をまとめたことを受けて、昨年4月に各地方整備局と北海道開発局、沖縄総合事務局へ2017年7月1日以降に入札公告される工事から、特記仕様書にスランプ12cmを標準値として明記するよう通知していた。
これを受けて、昨年度に16道府県が出先機関へ標準的なスランプ値を12cm、あるいはスランプ値を変更する場合には積算価格を手当てするよう通知した。今のところ、各道府県にそれによって施工の不具合があったとの声は届いていない。
生コン工場からはまだスランプ値を引き上げた効果が表れていないとの声があるが、それは、未着工の物件が多いためとみられる。愛知、岡山両県はホームページに変更内容を公表している。
今年4月1日付で変更したのが7府県。今年度中に変更(予定含む)するのが9都県。千葉は6月、今月から群馬、広島、徳島、愛媛、佐賀、沖縄、富山、佐賀が対応する。東京は8月から変更する。東京は今年3月に変更内容を通知し、約半年の猶予期間を設けて出先機関に対し設計変更などを促していた。
「土木物件のスランプは8cmと12cmの2つが混在する」と、生コン工組が要望し、スランプ値の変更が実現したケースもあった。茨城県生コンクリート工業組合では16年度に県と折衝した結果、茨城県では国交省に準じる形で昨年7月1日から標準的なスランプ値を12cmに変更している。
また神奈川県は、以前から施工者と協議のうえでスランプ8cmを引き上げるケースが多かったため、従来から出先機関の判断で、スランプ8cmと12cmを選択できるようになっている。このため、国交省の動きに連動する形での制度変更は行っていない。
市町村にも波及へ
都道府県の仕様書や施工要領は市町村でも引用されているケースが多い。都道府県は今回も各市町村へ参考通知を出している。「県発注、市町村発注の工事も施工業者は同じ。時間が経てば浸透していく」(岩手県)とみている。