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2018年06月14日号

1;民需使用量低下に歯止め~生コン

民需向けの生コン原単位(使用量)低下に歯止めがかかった。2017年度は民需の建設投資1億円当たりの生コン使用量が前年に比べ2m3上昇し172m3となった。10年度以来7年ぶりの上昇。建設経済研究所の建設投資見通しと全生連公表の出荷統計(実質建設投資、17年度は見通し)を基に算出した。
東日本大震災のあった11年以降、職人不足を背景とする現場の工程遅れや、諸資材の輸送力不足、生コン使用量の多い鉄筋コンクリート(RC)造から鉄骨(S)造化への工法変更など複合的な要因で生コン需要は下押されていた。民需での使用量は11年度が213m3、14年度が204m3、16年度が170m3と低下の一途だった。こうした中、S造の採用が進んだことで、鉄骨加工業者の繁忙状態が続いているとされ、そのシェアが頭打ちになってきたことが生コン使用量が増えた要因とみられる。
ただ、建築着工統計によると、17年度のS造の施工面積は5070万m2と、13年度以来4年ぶり5千万m2を超えた。一方で、RC造の施工面積は前年に比べ152万m2減っており、建築分野においては、依然としてS造が優位になっている。
一方で官公需、および官民合計ではまだ生コン使用量の低下が続いている。官公需は09年度に237m3だったのが、17年度は174m3まで減った。このため17年度は民需が回復したものの、合計では前年比2m3減の173m3となった。
今後を占ううえで大きな影響を与えそうなのが施工単価。建築着工統計(金額から施工面積を除して算出)によると、S造の施工単価は15年度に20万円を超え、17年度は21万2516円、RC造も26万3275円と、いずれも11年度に比べ30%以上上昇している。
生コン価格も全国的に上昇しているものの、17年度の生コン生産者価格は1万4630円と、11年度比で15%程度しか上昇していない。材料価格よりも労務単価が占める比重が大きくなっていることから、今後も労務単価が工法の選択を左右しそうだ。