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2018年06月07日号

1;全国生コン連合会、SDS案を公開

7月1日から全ての生コン工場で個別ユーザーに交付が義務付けられる安全データシート(SDS)。全国生コンクリート工業組合連合会はこのほど、組合員向けにSDS案と生コンクリート製造業で取扱う化学物質などのリスクアセスメントマニュアルを公開した。SDS案は会社の個別情報を記入する形になっており、全生連では全組合員に対し今月中に対応するよう求めている。
昨年8月3日の労働安全衛生規則の改正で「ポルトランドセメント」が特定化学物質に追加されたことに伴い、現在全国の生コン工場でSDS案の作成が行われている。厚生労働省は第三者のHPでのSDS告知を認めておらず、全ての工場が提出できるようにすることを求めていた。これを受けて、全生連はSDS案とリスクアセスメントマニュアル案を全生連HPの会員ページ「どこでもキャビネット版」に公開した。
SDSはJISZ7253で16項目にわたる記入情報が定められている。内容は①化学品及び会社情報②危険有害性の要約③組成及び成分情報④応急措置⑤火災時の措置⑥漏出時の措置⑦取扱い及び保管上の注意⑧ばく露防止及び保護措置⑨物理的及び科学的措置⑩安定性及び反応性⑪有害性情報⑫環境影響情報⑬廃棄上の注意⑭輸送上の注意⑮適用法令⑯その他情報。このうち、⑯以外は空白が許されない。
全生連中央研究所の石川なをみ主任研究員は、群馬県生コンクリート工業組合が5日に開いた研修会でSDS案を解説し、「全生連HPからSDS案をダウンロードし、会社情報などを記入すれば、ある程度の形になる」と語る。全生連ではSDS案の周知方法として、配合計画書にSDSを添付する形を推奨している。また、複数の工場を展開している会社の場合、本社で共通SDSを使うことも可能だ。当初はカラーコピーが必須とされていたが、モノクロも認められる。
リスク評価の実施を
事業所内におけるリスクアセスメントも努力義務となる。2014年6月の改正労働安全衛生法で、一定の危険性、有害性のある化学物質を一定量以上取り扱う事業所ではリスクアセスメントを行うことが義務化された。ただ、生コン業界では中和装置で使う硫酸や塩酸、コンクリート試験の試薬などが対象で、かつ化学物質を原材料として新規、または変更する場合に義務となるため、従来から指定物質を使っていた事業所は努力義務となっていた。
今回ポルトランドセメントが追加されたことを受け、石川氏は「リスクアセスメントは法的には努力義務だが、労働環境の改善なども含めて取り組んでほしい」と語った。