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2018年04月05日号

1;学生との接点増やせ~東京生コン協組の人材確保調査

東京地区生コンクリート協同組合(東京都中央区、斎藤昇一理事長)はこのほど、人材確保に関する調査報告書をまとめた。学生を職場見学やインターンシップ(就労体験)で受け入れている組合員が少ないなど将来の人材の確保に備えた取り組みが不十分とし、学生との接点拡大や情報発信力の強化を求めた。同協組では今回の調査結果に基づき、業界のイメージアップを含め人材確保に向けた戦略を立案、実行に移していく。
同協組は昨年1月、生コンの社会的認知度の向上などを目的にイメージアップ推進委員会を新設。人材確保の現状と課題を把握するため、都中小企業団体中央会から補助を受けて、同調査を日本生産性本部に委託した。報告書は、組合員(経営者・従業員)アンケート調査、学校や組合員インタビュー調査の結果とその分析で構成されている。
従業員の職種別年代分布は、工場・製造、営業、管理・事務各部門は35%前後で40歳代が主力なのに対し、運搬部門は50歳代が51・5%と過半を占めた。60歳代を含めると73・2%に達し、高齢化の進行があらためて明らかになった。
地元の小中高生を職場見学で受け入れている組合員は、回答した21社中7社と3分の1にとどまった。インターンシップの受入れは4社とさらに少なかった。その一方で、経営者は「若手労働力の確保」「製造・試験・出荷等の工場部門の採用・育成」を重要な経営課題と位置づけており、「実行面との乖離」が浮き彫りとなった。
報告書では、インターンシップの実施率が全産業平均で7割に迫る一方で、組合員の情報発信が消極的と指摘し、「ほかの業界や大企業以上に学生との接点を大幅に増やす必要がある」とした。
また、学校インタビュー調査で「コンクリート業界・企業からの情報発信がほとんどない」との声が大多数だったことを踏まえ、生コンの魅力や業界で得られる技術、経験などを盛り込んだ情報の発信を増やし、長期的に継続することが重要とした。その手段として、Webや会社説明会など多様なコミュニケーションツールを駆使するよう提案した。
一方、従業員アンケートでは、処遇について「給与・賞与」「教育制度」「福利厚生」で満足度が低かった。経営者はこれを改善するため、「単価アップ」などによる収益向上が必要と考えている。また、人材育成支援として同協組による「教育プログラムの抜本的な充実が必要」とした。
まとめとして、①アプローチの強化・認知度向上②興味・関心の喚起③つながり・接点の強化④創造性のある仕事への理解促進⑤業界・自社への信頼感醸成⑥従業員と企業との絆づくり――の6つのステップを踏む「AI・CONCRETE」(愛・コンクリート)の取り組みを提唱した。