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2018年03月08日号

1;販売姿勢強める~東京都心の生コン

東京都心の生コン需給が一段と逼迫している。2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックの施設工事や大規模再開発工事が需要を押し上げており、今年度の東京地区生コンクリート協同組合の出荷量は、340万m3前後と前年度実績を60万m3以上上回る見通しとなった。出荷予定の入りづらい状態が続いており、キャンセル待ち現場が軒を連ねる。需給を反映して生コンの販売姿勢は強い。「仕事量は先行きも豊富だ。手取りが良く、納入しやすい物件を優先せざるを得ない」(都内の生コン事業者)と市場は売り手優位に傾斜している。
相次ぐキャンセルや予定変更が需給逼迫を助長する要因となっている。東京地区協組のまとめによると、今年度の出荷予定キャンセルは4~1月で149件(合計数量2万3千m3)と前年度(83件)に比べ8割も増加した。2年前との対比では2・5倍に達する。その過半が配筋検査不合格や型枠遅延など現場都合が理由だ。納入予定3日以内の変更も同期で1422件(同22万3千m3)と4割増えている。発生率は14・4%と2・2ポイント上昇した。
輸送力低下も影響
乗り手不足やリース車の減少などで輸送力は低下している。組合員の供給能力を合計すると、1日当たりの出荷量は1万5千m3が上限。ただでさえ多忙を極めており、キャンセルなどでいったん流れた出荷予定を再設定するのは容易ではない。キャンセル待ちの中には納入工場が1週間近く決まらない現場もあるもようだ。
来年度は都心の大規模工事が盛期を迎えるとの見方が支配的だ。東京協組の出荷量は350万m3台が視野に入り、需給逼迫が深刻化する懸念もある。
市況強含み持続
東京地区協組は12月1日から販売価格を1000円引き上げた。だが、駆込み引合が300万m3に上り、売価とコストが均衡するまでかなりの時間を要する。「すでにコストは上がっている。駆込みについても一定額の値上げを認めてもらわないといけない」(同)と強気の声も聞かれる。市況は来年度以降も強含みを持続する公算だ。