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2017年12月14日号

1;供給困難地へ安定納入~東北の生コン

東北では生コン工場の閉鎖による供給エリアの維持が大きな課題になってきた。また協組広域化といった組合の合理化も検討され始めた。
岩手県南生コン協組エリアの西和賀地区では、同地区の生コン工場が7月末で廃業したことにより、岩手県南協組エリアの遠方の工場から輸送せざるを得なくなった。納入現場によっては、隣接協組の組合員の方が距離的に近いケースがあるため、岩手県南協組は隣接する岩手協組(盛岡市)、秋田県南協組(横手市)に出荷協力を要請。受注窓口は県南協組で一本化するものの、納入工場については3協組のうち、現場の諸条件を考慮したうえで工場を選定することにした。協組間の連携で供給の空白地域を埋める考えだ。
岩手県内で現在、セイア宮古復興生コンクリート第2工場(宮古市川内地区)が稼働している場所も、もともとは生コン工場の空白地域。復興支援道路である宮古盛岡横断道路で大規模な出荷が出る見通しになったことから復興プラントが設置された。道路工事が終了すればプラントは閉鎖される予定。将来的には、このエリアにも生コンをどうやって供給していくのか議論になりそうだ。
一方、協組の広域化や共同輸送といった合理化によって、事務コストをできるだけ削減、工場を存続させ、生コンJIS(A5308)で定められた供給エリアを維持することを志向する協組もある。ただ、東北の生コン協組はすでに事業エリアが広範囲にわたるところが多く、合理化の効果は限定的なものになりそう。最終的には、採算性と供給エリアの維持を両立できる工場の再配置が必要になりそうだ。その場合、出荷量が少なくても工場が維持できるようなシェア優遇策の導入や遠距離輸送の割増料金の設定なども検討課題になるとみられる。
被災地も平時体制
一方、復興需要のピークが過ぎた被災地でも復興プラントの閉鎖時期が迫りつつある。今後は復興後を見据えて組織率向上、工場集約化、価格の維持といった、平常時の課題についても検討していく必要がありそうだ。