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2017年12月07日号

1;高流動コンクリート普及に弾み

高流動コンクリートのフレッシュ性状を簡便に評価するJリングフロー試験方法と性能評価基準のJISが制定される見通しとなった。11月29日に東京・霞が関の経済産業省別館で開かれた日本工業標準調査会(JISC)標準第一部会の土木技術専門委員会(宇治公隆委員長)でJIS原案が示された。2019年に改正される予定の生コンJIS(A5308)では普通強度領域におけるスランプフローの導入が審議されており、その性能を評価するJISの制定で、建築分野での高流動コンクリートの普及に弾みがつきそうだ。
「コンクリートのJリングフロー試験方法」(JISA1159)と「増粘剤含有高性能AE減水剤を使用した高流動コンクリートのワーカビリティーの評価基準」(JISA1160)のJIS原案は建材試験センターが作成した。
Jリングフロー試験は海外で自己充填コンクリートの試験方法として規格化されているJリング試験を応用したもので、試験手順はスランプフロー試験と同じ。高流動コンのワーカビリティは①材料分離抵抗性②流動性③間隙通過性で評価する。その性能は土木学会のボックス型充填試験でも評価できるが、建材試験センターが経産省から委託されて実施した高機能JIS整備事業で、より現場で簡便に評価できる試験方法としてJリング法を開発した。中心部に16本の鋼棒を配置したリング器具を用い、コンクリートが鋼棒を通過する状況から流動性や間隙通過性を評価する。
高流動コンクリートに関連して、NEXCОはトンネル覆工向けの中流動コンクリートを標準化しており、土木分野で主に採用されている。国土交通省が今年3月に策定した「流動性を高めた現場打ち生コンクリートの活用に関するガイドライン」でも、条件付きで中・高流動コンを選定できることが明記された。職人不足の問題を抱えるゼネコンとしても、中・高流動コンの採用で締固めに要する人員を減らせるのは大きな魅力だ。
一方、建築分野で高流動コンはJIS規格外品のため、大臣認定の取得が必要になる。しかし、生コンJISでの普通強度領域のスランプフロー管理導入や、その性能を評価するJIS制定で、建築分野での利用拡大が見込めそうだ。
再生骨材は持ち越し
一方、再生骨材H(JISA5021)、再生骨材コンクリートM(同5022)、再生骨材コンクリートL(同5023)は最終審議が持ち越された。今回5022では再生骨材Lと普通骨材(生コンJISに適合する骨材)の混合利用を認められる記述がある。次回の審議で、再生骨材Lと普通骨材を混合利用しても品質が確保できるという根拠になった資料も提出したうえで、再協議する。
これにより、5021や5023の承認も次回に持ち越されることになった。