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2017年11月30日号

1;東京都心 生コン需給タイト化

東京都心で生コン需給がタイト化している。オリンピック施設や都市再開発など大規模工事への納入が本格化しているためで、今年度の東京地区生コンクリート協同組合(斎藤昇一理事長)の出荷量は、過去5年平均を上回り、高原状態で推移している。その一方で納入予定直前の変更やキャンセルが多発。現場が再設定した変更日に出荷できる工場がなく、「キャンセル待ち現場」も散見される状況だ。
昨年度の東京地区協組の出荷量は前の年に比べ15%減の276万m3と、初めて300万m3を割り込み、過去最低を更新した。着工遅延や工期の長期化に加え、大手ゼネコンが受注を控えた影響が顕在化した。それが今年度は一転V字回復となり、4~10月で前年同期比25・3%増の190万4千m3と急伸した。出荷想定との対比では9%近く上振れており、昨年度を外した2011~15年度の平均値を2%強上回っている。
品川や大手町の大規模再開発や物流施設、新国立競技場など向けの出荷が盛期を迎え、それを追う形でオリンピック選手村工事、日本橋、丸の内などでの大規模再開発工事が本格化している。その後も10万m3規模の工事が続く。
秋の需要期に入り出荷の勢いは一段と増している。10月の長雨や台風による後ずれもあるが、11月の出荷量は3月以来8か月ぶりに30万m3の大台を超える見通しとなった。12月も大台到達は確実視されている。1月以降も堅調出荷が続き、今年度出荷は当初想定の310万m3を大きく上回り、330万m3に達する公算だ。
都心向けに供給する組合員工場の稼働率も上昇しており、出荷予定が入りにくい状況が続く。東京地区協組は安定納入を確保するため、物件割決においてほかのブロックを含め通常より多い工場をエントリーする措置を取っている。今春から原則休業日の第2・第4土曜日の稼働を時限的に認めている。
需給がタイト化するなかで、納入予定直前の変更が多発し、安定納入に支障が出ている。東京地区協組のまとめによると、今年度上半期の3日以内の納入予定変更は前年同期に比べ81%増の778件と急増。数量ベースで12万4千<CODE NUMTYPE=SG NUM=9022>に上る。昨年度は1年間で1019件、17万9千m3だった。
納入予定キャンセルも増えている。14年度が40件、15年度が59件、16年度が83件と漸減しており、今年度は上半期だけで72件に上っている。理由の過半が配筋検査不合格や型枠遅延など現場都合だ。
来年度の出荷量は340万m3も視野に入るといい、需給が一段とタイト化するのは必至だ。東京地区協組は、このまま納入直前の変更やキャンセルが是正されなければ、最盛期には納入が不安定化する可能性があるとして、販売店やゼネコンに現場管理の徹底を求めている。