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2017年09月21日号

1;スランプ値差見直しの動きも~生コン協組アンケート

国土交通省は7月発注分から土木物件における生コンの標準スランプ値を従来の8cmから12cmとした。国交省発注分については、スランプ12cmの価格が設計段階で適用されるほか、施工条件によっては発注者と施工者との協議によって15cmや18cm、21cmも可能になる方針が示された。これを受けて生コン協組ではスランプによる価格差を撤廃、あるいは細分化していた区分を見直す動きが出始めた。そこでコンクリート新聞社では、全国の生コン協組にスランプの価格差に関するアンケート調査を行い、148協組から回答を得た(詳細は次号掲載)。

土木物件におけるスランプでは、耐震性能に対する要求水準が厳しくなり、鉄筋が過密化したことで、生コンの打設効率が低下したり、充填不足などの問題を生じさせないため、ゼネコンから生コン工場に対してスランプ許容幅を狭める上限要求が常態化していた。こうした中、i―Construction(アイコンストラクション)で、コンクリート工事の生産性向上が検討課題の一つとなり、3月には「流動性を高めた現場打ちコンクリートの活用に関するガイドライン」が示され、国交省は7月から土木工事における標準スランプを12cmに設定して運用することにした。

これを受け、全国の生コン協組でスランプによる価格差を撤廃、あるいは細分化していた区分を見直す動きが出始めた。そこで各協組におけるスランプ価格について、8cmと12cmの価格差の有無やその値差、価格表の見直し状況などを調べた。価格表のスランプ区分は、地域事情が色濃く出た。東海ではスランプによる価格差を撤廃し、強度のみでベース価格を設定しているところもある。

価格表でスランプ8cmと12cmで価格差があると回答した協組は約6割あった。地区別では、6地区(北海道、東北、近畿、中国、四国、九州)が「価格差あり」が多く、特に北海道、四国では回答のあった全協組、中国では大半の協組で、価格差が設けられている。一方、関東一区と北陸、東海では「価格差なし」と回答する協組が多かった。

8cmと12cmの価格差は、「200~299円」が全体の45%を占め、「100~199円」が25%、「300~399円」が19%だった。

標準スランプ変更に伴う価格表の見直しは、148協組のうち「見直さない」が67%、「検討中」が22%、「見直す予定」は7%、「改定済み」4%だった。現時点では「見直さない」としている協組についても、今後の動向次第では見直しに動く可能性がありそうだ。

標準スランプ変更の影響については、多くの協組が「問題なし」としているが、12cmになっても「上限要求は解消されない」との声があった。