文字サイズ(変更方法 文字サイズを大きく 文字サイズを小さく
2017年09月14日号

1;品質変動対策に焦点~混和剤動向

混和剤メーカー各社は、建設業界が抱える課題を克服するための製品開発を加速させている。生コン向けでは「骨材の品質変動対策」、「スラグやフライアッシュ(FA)などの副産物の利用拡大」が焦点となっている。さらに、i―Construction(アイコンストラクション)の推進で需要拡大が見込まれるプレキャストコンクリート製品向けのラインナップ拡充にも力を注いでいる。

近年、砕石・砕砂の使用に加え、スラグやFAなど副産物の利用拡大も進んでいる。一方で、使用骨材の変更がコンクリートの性状に及ぼす影響は大きく、生コン工場では粘性の変化やブリーディングの増大などに頭を悩ませている。

それに対して、混和剤メーカー各社は、高流動コンクリートの開発で培った増粘剤を応用した粘性制御技術で対応している。増粘剤含有高性能AE減水剤の開発で、普通強度相当のセメント量でも材料分離抵抗性を確保した中・高流動コンクリートの製造を可能にしたほか、BASFジャパンが2016年から販売している「マスターイース」のように粘性を低減して、製造効率やポンプ圧送性を向上できる高性能AE減水剤も登場した。

中・高流動コンクリートは建築工事での適用拡大に向けて、19年改正予定の生コンJIS(A5308)で普通強度領域にスランプフロー管理を導入する検討が進められている。混和剤メーカーもこの動向を注視しており、建築工事での利用拡大が進めば、そこから新たなニーズが生まれる可能性もあると見ている。

ブリーディング抑制は、骨材事情の悪い地域でニーズが強い。ただ、全国一律で求められるものではないことから、それに特化した製品ではなく、既存のAE減水剤(高機能タイプ)や高性能AE減水剤を基に付加価値を持たせた製品が検討されている。

製品向けを拡充

コンクリート製品向けの混和剤は「蒸気養生にかかるエネルギーコストの削減」や「表面美観の向上」などが技術開発のテーマとなっている。

各メーカーとも、早強性を高め養生期間の短縮効果がある製品を拡充している。また、業界で深刻化する人手不足を解消するため、高流動化に対応した製品も市場投入している。美観向上では骨材中の亜炭やFAのカーボンなどが原因となる黒ずみを抑制する製品を展開している。