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2017年07月27日号

1;広がる災害支援協定

全国の生コン協同組合と自治体で、災害発生時に消火活動などを支援する協定を締結する動きが加速している。契機となったのは昨年12月に発生した新潟県糸魚川市の大火。テレビや一般紙でコンクリートミキサ車で消火用水を輸送したことが紹介され、一般市民にも生コン業界の社会貢献活動として認知された。これまでは生コン協組から行政に協定の締結を持ちかけるケースが多かったが、これ以後、行政から働きかけられているところもある。

災害発生時における支援協定はこれまでも、地域における生コン業界の社会貢献活動の一つとして行われてきた。その発端とされるのは、1996年に東京都生コンクリート工業組合と都内に販売エリアを持つ生コン6協組が東京消防庁と締結した消火活動業務に関する協定だ。83年の三宅島の噴火時に、溶岩を冷却するための水を地元生コン会社がミキサ車を用いて供給したことがきっかけで、東京消防庁から呼びかけられた。それ以降、生コン業界における社会貢献活動の一つとして、全国の生コン組合で同様の協定を締結する動きが広がった。

2000年代に入ると、05年に高知県生コン協組連が県と災害支援協定を締結。同協組連青年部が、全国生コン青年部協議会の全国大会で事例を公表した後、各地の青年部が、同様の協定の締結に向けて動いた。

糸魚川の大火では糸魚川生コン協組の前理事長がミキサ車で消火用水を輸送するよう指示したものの、当初はミキサ車に消火用水が積載されていることが消防関係者に周知されておらず、一部で混乱を招いた。このため、糸魚川市と糸魚川協組は5月、大規模災害時に消火用水の提供・運搬を行う協定に調印。新潟県では柏崎、魚沼両生コン協組も地元の市町村と同様の協定を結んだ。魚沼協組は今月上旬、南魚沼市の防災訓練にも参加した。

熊本県生コン工組は6月に熊本県と「大規模災害時の支援活動に関する協定書」を交わした。大規模災害が発生、またはそのおそれが生じた場合に、県が管理する公共土木施設で道路啓開や土嚢作成時などに必要な砂や砂利を提供する。

東海地区では、西三河生コン協組が3月に豊田市と消火活動支援及び生活用水確保などに関する協定を結んだ。同協組豊田支部の12社が災害発生時に消火用水や生活用水を供給する。また静岡県中東遠生コン協組が今月末に掛川市と協定を締結する予定だ。

山形中央生コン協組は27日に山形市と協定を結ぶ。同協定には山形県コンクリート圧送協会も連名で参加するなど、生コン以外の業種にも広がりつつある。