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2017年07月20日号

1;事業基盤を再強化へ~関東一区の生コン

関東一区で生コン値上げの動きが一段と広がっている。東京地区生コン協同組合が3年半ぶりとなる値上げを打ち出し、三多摩生コン協同組合も年明けから販売価格を引き上げる。東関東生コン協同組合も値上げを視野に入れる。昨秋から今春にかけて神奈川、埼玉両県で共販事業を実施する全ての協組が値上げに着手しており、すでに一部で成果が出ている。値上げの理由は「事業継続性の確保」でおおむね共通している。値上げで投資原資を確保し、老朽化した設備の更新や人材の確保などに充てることで、弱体化した事業基盤を再強化する。

関東一区では昨年9月から今年4月にかけて埼玉中央、埼玉県北部、秩父地区、神奈川、湘南、玉川、横須賀地区の7協組が販売価格を引き上げた。上げ幅は500~1000円。先行した秩父地区では1000円値上げが満額浸透したほか、神奈川、湘南、埼玉中央各協組エリアも建設物価の表示価格は値上げ以降、8月号時点で200~500円上がった。

昨年度の関東一区の生コン出荷量は初めて2000万m3を割り込み、過去最低を更新したが、市況はおおむね安定、あるいは強含みを維持している。需給が緩めば市況が下落するという市場経済の原則を、協組共販で跳ね返している格好だ。

東京地区協組が12月に1000円、三多摩協組が来年1月に800円それぞれ値上げすることを決めた。原材料を含め輸送コストの上昇、プラントやミキサ車など老朽化した設備機器の更新原資の確保が主な理由。両協組とも「満額浸透」を目指す構えだ。

一方、現時点で千葉県の協組では値上げの動きが見られない。しばらくは前回値上げの積み残し分の達成に軸足を置いた市況対策を継続するもよう。

関東一区の主要10協組の4~6月の出荷量は前年同期比3・4%増の258万6千m3と復調している。けん引役は五輪特需がある東京地区で23・2%増の83万2千m3だった。昨年度不振だった千葉中央、千葉西部の需要環境も好転してきており、神奈川も前年並みを確保している。埼玉中央は2ケタプラスだが、新規加入会社分を差し引いた実質はおおむね横ばい。

逆風が続いているのが東関東、三多摩、玉川でそれぞれ31・1%減、23・6%減、14・5%減となった。需要の好不調で二極化が一段と進む懸念が強まっている。出荷が好調な東京地区も忙しいのは都心・湾岸だけ。他協組も狭いエリアでの需要偏在が目立っており、シェア出荷の歪みをどう是正していくかが共販運営の課題となっている。