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2017年06月08日号

1;員外社対策が焦点~札幌の生コン

札幌の生コン出荷が好調を維持している。全出荷の8割を占める民需が建築物件を中心に旺盛なことに加えて、市内では今年度から再開発工事が本格化する。新幹線延伸工事も控えており、数年先まで底堅い需要が見込まれる。その一方で工場新設の動きも出てきており、員外社対策が札幌生コンクリート協同組合にとって大きな課題として浮上している。

札幌協組は2017年度の出荷を前年度並みの100万㎥と想定している。4月の出荷量は、前年同月比0・3%減の7万3千㎥と、16年度並みの出荷ペースを維持しており、想定通りの出足になった。

市内では再開発計画が目白押しだ。北海道ガス札幌工場跡地(北4東6周辺地区)やJR苗穂駅周辺の計画がこれから本格化する。病院や福祉施設のツインタワーやマンション、商業施設が建設される予定だ。また、外国人観光客の急増を見込んで市内では3件のホテル建設計画がある。

出荷が好調な一方で、再開発や新幹線工事を見越して工場の新設が出始めている。苗穂では新設工場がまもなく完成し、7月から出荷を開始するとみられる。プラントのSBを計画している員外社もある。また、昨年度末に1社が協組を脱退し、員外社は3社4工場となった。

2年連続で100万㎥超の好調な出荷を背景に、協組と員外社の住み分けができており、市況に影響が生じるような状況には至っていない。ただ、出荷が急減する状況となった時に市況を維持できるかというと一抹の不安がある。リーマンショックなどを要因に出荷が急減した09年には相次ぐ組合員の脱退で共販が停止に追い込まれ、市況が5000円台にまで低迷した苦い過去がある。紆余曲折を経て、共販再開まで2年3か月もの月日を要した。

同協組ではその経験を教訓に、将来を見据えた員外社対策が不可欠とし、今年度の重点項目に掲げている。苗穂で建設中の新設プラントに対して、来年度からの協組加入に向けて交渉を進めている。同協組では効果的な員外社対策を粘り強く行うことで、組織率向上を図り、長期的に市況を安定維持できる体制の構築を目指す。