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2017年03月30日号

1;生コン伝票 電子化へ~国土交通省

国土交通省が推進するi―Construction(アイコンストラクション)では発注、製造、施工の3者間で施工情報を早期に共有する仕組みづくりが進んでいる。その一つとして検討されているのが生コン伝票の電子化だ。現在、紙伝票で管理されている情報を電子化して共有サーバーで管理し、3者がリアルタイムに情報を入手することにより、出荷や打設の効率化が期待される。さらに打設データを維持管理にも応用していく方針だ。

生コンJIS(A5308)では品質や性状、出荷時間などを紙伝票で管理し、それらを施工者に伝達している。また、現場試験の結果や生コンの到着時間は納入書、打設や品質などの施工情報は現場作業員が野帳に記入して管理している。納入書や野帳のデータは現場事務所で打設管理表を作成して、パソコンで入力して管理している。

コンクリート生産性向上検討協議会(前川宏一会長=東京大学教授)では、建設現場におけるサプライチェーンマネジメントの導入に向けて、生コン工場やゼネコンにヒヤリングを行い、現行の伝票による情報伝達の課題や改善点を探った。

その結果、「現行の方法では現場と生コン工場の間で現場試験の結果や運搬情報がうまくやりとりできず、出荷時間によってはJISの運搬時間を超えて生コン工場に戻さざるを得ないケースがある」などの課題が浮かび上がった。

これらの課題の解決策として同協議会は、出荷や受入れ時の品質、受入れ確認、施工情報などを電子データ化して、共有サーバーで一元管理することを検討している。製造、施工各段階で情報を共有サーバーに入力し、関係者がリアルタイムで確認できるようにするとともに、そのデータを打設管理表に集約する。これにより、現場事務所でデータ入力する手間が少なくなり、実作業の省力化も期待できる。また、自動的に情報が蓄積されるため維持管理などの分析でも活用できるとみられる。

同省では来年度から生コン伝票の電子化に向けて、課題や改善点を把握するために関連団体を交えた意見交換を行う方針だ。その中で製造者と施工業者が最適な運用ができるように調整する。また、生コン工場などの協力を得て、導入・運用にかかるコストや導入効果に関する実証実験を行う。