文字サイズ(変更方法 文字サイズを大きく 文字サイズを小さく
2017年03月23日号

1;標準スランプ12cmに~国土交通省

コンクリートのスランプ規定の見直しが進んでいる。国土交通省が推進するi―Construction(アイコンストラクション)でコンクリート工の生産性向上を検討している「コンクリート生産性向上検討協議会」(前川宏一会長=東京大学教授)は17日に開いた会議で、スランプをコンクリート単価算出のための参考値扱いとし、現場の条件に応じて自由に契約が変更できる考え方を導入することを決めた。3月末をメドにスランプ12cmを標準とするガイドラインを作成し、それを基に設計要領や土木工事施工管理基準(案)などの規準類を改定する。

土木工事の標準スランプは8cmとされているが、耐震性能に対する要求水準の強化で鉄筋コンクリート構造物の配筋が高密度化しており、打設効率の低下や充填不足による品質低下が課題となっている。現場でスランプ値を変更するには施工者と発注者の協議が必要で、それがコンクリート工の生産性向上の阻害要因となっている。

化学混和剤の技術革新で単位水量を増やすことなくスランプが調整できることから、同協議会ではスランプ規定及び契約時におけるスランプ値の取扱いの見直しに着手した。昨年9月には、設計段階から流動性を高めたコンクリートを活用できるように、①スランプ及びスランプフロー値を参考値として随時設計変更を行う②設計段階から構造・配筋を考慮して適切なスランプを設定するの両案を提示していた。

協議会は検討の結果、スランプ値はコンクリート単価を算出するための参考値として示し、契約後に発注者と施工者でスランプ値を確認することを決めた。変更が必要な場合は両者で協議して契約内容を変更できるようにする。スランプ値は施工者が打込みの最小スランプを考慮して決め、品質は発注者が検査で単位水量や単位セメント量、水セメント比を配合計画書で確認して確保する。

一般的な土木構造物で使うコンクリートのスランプ値は12cmを標準とする。同協議会はそれを標準的に採用できるように、「流動性を高めた現場打ちコンクリート活用に関するガイドライン」を3月末までに作成する。「流動性を高めたコンクリートの普及検討委員会」(橋本親典委員長=徳島大学教授)が作成しているもので、スランプを12cmとした場合の技術的な留意事項や施工時における品質確認上の留意点などを示す。また、スランプ12cm以上のコンクリートや高流動コンクリートを採用する際の留意点もまとめる。

同省はガイドライン作成後に、各地方整備局の設計要領や土木工事施工管理基準(案)などの規準類を変更に着手し、来年度以降からの運用を目指す。