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2017年03月09日号

1;空気量5%以上確保へ~東北地整

「コンクリートの目標空気量を5.0%以上に」――。国土交通省東北地方整備局は管内の平均気温や凍結防止剤の散布量を踏まえて凍害区分を設定し、生コン工場に耐凍害コンクリートの出荷を求める。東北全域で対応を迫られそうだ。同地整は今月中にも「東北地方における凍害対策に関する参考資料(案)」を公表する。

同地整は2013年からコンクリートの品質確保に向けて、試行工事を開始。この結果を基に品質確保の手引きを取りまとめてきた。

参考資料は、東北地方のコンクリート構造物のうち、凍結防止剤が散布される環境下における凍害(スケーリング)を防止する目的で策定した。同地整発注工事の現場打ちコンクリートやコンクリート製品が対象で、凍害対策に必要な費用は発注者が負担する。参考資料で定める凍害対策は暫定的なもので、新たな知見が得られ次第、適宜見直す。

凍害種別の根拠は、東北地整が管理する130橋梁のデータだ。下部工のうち130データを抽出して、平均気温や凍結防止剤の散布量と構造物の凍害健全度に関係性があることを確認した。  凍害対策を行う地域は12~2月(冬期)の平均気温と冬期における凍結防止剤の散布量を踏まえて発注段階で定める。平均気温が「0度以上」は凍害区分1、「0度~マイナス3度」は区分2、「マイナス3度以下」が区分3となる。凍結防止剤の散布量は「1km当たり20トン以上」、「20トン未満」、「ほとんどなし」の3区分とした。

東北地整のデータによると、ほぼ全域で凍結防止剤が「1km当たり20トン未満」散布されているため、凍害種別は「A」となる。凍害種別「A」の場合、目標空気量は5%(4.5~6%、JIS範囲内)とし、荷卸し時に4%を下回らないように管理する努力目標が定められる。

凍害区分3で、凍結防止剤の散布量が「1km当たり20トン以上」となる地域は凍害種別を「S」とする。この場合、空気量を増やすだけでは、凍害を抑制することが難しいことから、目標空気量は6%(5~6.9%)および水結合材比(W/B)が45%以下、あるいは目標空気量を7%(JIS適用外)として対応する。凍害種別「S」は岩手県の新区界トンネルで採用されており、ここで得られた知見を参考資料に反映させた。

空気量を増やすことで、一般的には圧縮強度が低下するとされるほか、生コン工場では空気量の管理が難しくなるとみられる。日本大学の岩城一郎教授は、宮城県生コンクリート工業組合が品質管理事業の一環で取組んでいるQCサークルのデータを紹介し、「生コン工場で十分対応できる」と説明した。